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第III部 わが国防衛の三つの柱(防衛の目標を達成するための手段)

3 共同訓練・演習

平素から共同訓練・演習を行うことは、戦術面などの相互理解や意思疎通といった相互運用性を向上させ、日米共同対処能力の維持・向上に大きく資するのみならず、日米それぞれの戦術技量の向上を図るうえでも有益である。とりわけ、実戦経験豊富な米軍から習得できる知見や技術は極めて貴重であり、自衛隊の能力向上に大きく資するものである。

また、効果的な時期、場所、規模で共同訓練を実施することは、日米間での一致した意思や能力を示すことにもなり、抑止の機能を果たすことになる。これらの観点を踏まえ、防衛省・自衛隊は、引き続き共同訓練の充実に努めている。

共同訓練・演習は、国内のみならず、米国への部隊派遣などにより拡大している。日米共同方面隊指揮所演習、対潜特別訓練、日米共同戦闘機戦闘訓練など、各軍種において相互運用性及び日米共同対処能力の向上の努力を続けている。

昭和60(1985)年度以降、日米共同統合演習として、おおむね毎年、指揮所演習と実動演習を交互に行ってきた。2020年10月から11月にかけては、わが国の周辺海空域、種子島及び臥蛇島などにおいて、陸海空自衛隊の人員約3万7,000名、艦艇約20隻、航空機約170機が参加する実動演習(キーン・ソード21)を実施した。

そのほか、最近の訓練・演習としては、同年12月、日本で実施した日米共同方面隊指揮所演習(YS-79)に、陸自、米陸軍などが参加し、共同して作戦を実施する場合における指揮幕僚活動を演練した。

令和2年度国内における米海兵隊との実動訓練(フォレストライト(東部方面隊))に参加する日米隊員

令和2年度国内における米海兵隊との実動訓練
(フォレストライト(東部方面隊))に参加する日米隊員

さらに、日米は様々な海空域において共同訓練を実施している。一例として、同年7月には、遠洋練習航海中の海自練習艦「かしま」、「しまゆき」と米空母「ロナルド・レーガン」などが、南シナ海において日米共同訓練を実施した。また、空自は日本海、東シナ海、沖縄周辺空域などにおいて、米空軍B-52爆撃機、B-1爆撃機などと各種訓練を実施している。

南シナ海において米空母「ロナルド・レーガン」を見送る令和2年度遠洋練習航海(前期)実施中の実習幹部

南シナ海において米空母「ロナルド・レーガン」を見送る
令和2年度遠洋練習航海(前期)実施中の実習幹部

これらの日米共同訓練は、いずれも自衛隊の戦術技量の向上及び米軍との連携強化を図ることを目的として日米同盟の抑止力・対処力を強化するため実施したものである。その結果として、日米の連携強化が図られ、絆を示すことは、わが国の安全保障環境が厳しさを増している中で、日米同盟全体の抑止力・対処力を一層強化し、地域の安定化に向けたわが国の意思と高い能力を示す効果があるものと考えている。

近年では、地方自治体が開催する防災訓練に在日米軍も参加し、関係機関との連携を深めている。

クリスマス・ドロップ(ミクロネシア連邦等における人道支援・災害救援共同訓練)において投下物資にメッセージを書く日米隊員

クリスマス・ドロップ(ミクロネシア連邦等における人道支援・
災害救援共同訓練)において投下物資にメッセージを書く日米隊員

動画アイコンQRコード動画:日米共同統合演習「Keen Sword 2020」
URL:https://youtu.be/J2wgfV4zFfU(別ウィンドウ)

動画アイコンQRコード動画:ミクロネシア連邦等におけるHA/DR共同訓練「クリスマス・ドロップ」
URL:https://youtu.be/T7THDbohMgw(別ウィンドウ)

動画アイコンQRコード動画:日米共同訓練
URL:https://youtu.be/nOf7WE4MHVw(別ウィンドウ)

参照資料19(主な日米共同訓練の実績(令和2(2020)年度))