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第I部 わが国を取り巻く安全保障環境

2 わが国周辺の安全保障環境

わが国周辺には、質・量に優れた軍事力を有する国家が集中し、軍事力のさらなる強化や軍事活動の活発化の傾向が顕著となっている。

また、わが国を含むインド太平洋地域の各国は、政治体制や経済の発展段階、民族、宗教などの面で多様性に富み、また、安全保障観、脅威認識も様々であることなどから、安全保障面の地域協力枠組みは十分制度化されておらず、地域内における領土問題や統一問題といった従来からの問題も依然として残されている。

朝鮮半島においては、半世紀以上にわたり同一民族の分断が継続し、南北双方の兵力が対峙する状態が続いている。また、台湾をめぐる問題のほか、南シナ海をめぐる問題なども存在する。さらに、わが国について言えば、わが国固有の領土である北方領土や竹島の領土問題が依然として未解決のまま存在している。

これに加えて、近年では、領土や主権、経済権益などをめぐる、純然たる平時でも有事でもない、いわゆるグレーゾーンの事態が国家間の競争の一環として長期にわたり継続する傾向にあり、今後、さらに増加・拡大していく可能性がある。こうしたグレーゾーンの事態は、明確な兆候のないまま、より重大な事態へと急速に発展していくリスクをはらんでいる。

図表I-1-1 わが国周辺の安全保障環境等

図表I-1-2-1 わが国周辺における主な兵力の状況(概数)