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第IV部 防衛力を構成する中心的な要素など

4 FMS調達の合理化に向けた取組の推進

FMS(Foreign Military Sales)(有償援助)は、米国の武器輸出管理法などのもと、米国の安全保障政策の一環として同盟諸国などに対して装備品を有償で提供するものである。FMSには、①価格が見積りであること、②前払いが原則であり履行後に精算されること、③納期が予定であることなどの特徴があるが、一般では調達できない機密性の高い装備品や能力の高い装備品を調達できる点で、わが国の防衛力を強化するために非常に重要なものである。

一方、FMSについては、納入遅延や精算遅延などの様々な課題があることは事実であり、近年FMS調達額が高水準で推移している中で、日米が協力して改善に努めているところである。

具体的には、2016年以降、防衛装備庁と米国防安全保障協力庁との間でFMS調達をめぐる諸課題について協議を行う会議(SCCM:安全保障協力協議会合)を5回開催している。

2020年1月の第4回会議においては、未納入・未精算の課題について、全ての未納入・未精算ケースの履行状況を適時に把握するなどの取組を行うことで合意した。この取組を含め、日米両国が連携してFMS調達の履行管理を強化した結果、令和元(2019)年度末の未納入額は約166億円、未精算額は約332億円と、平成30(2018)年度末と比較して、未納入額は約160億円の縮減(約49%減)、未精算額は約161億円の縮減(約33%減)となった。

2021年1月の第5回会議においては、未納入・未精算に関するさらなる取組として、主要な装備品の履行管理を強化することや、日米間で未納入・未精算の原因を解明したうえで、計画的に処理・除去する取組を継続・強化していくことなどについて合意した。また、価格の透明性の課題については、米国防安全保障協力庁が、米国防省内の関係機関に対し価格情報の提供について指導・監督していくことや、価格の透明性に起因する諸課題の解決に向けた支援を行うことなどについて合意した。防衛省においては、引き続き、FMS調達の履行管理体制を強化10するなど、FMS調達の合理化を推進することとしている。

10 令和3(2021)年度、防衛装備庁有償援助調達室に、FMS調達の履行状況の管理を行う「履行管理・促進班」を新設