こうした現状を踏まえ、防衛力を支える重要かつ不可欠な要素である防衛生産・技術基盤を維持・強化するため、国家安全保障戦略及び防衛大綱を受け、これまでのいわゆる「国産化方針3」に代わり、14(平成26)年6月、「防衛生産・技術基盤戦略」が策定された。
参照資料5(国家安全保障戦略(概要))
資料6(平成26年度以降に係る防衛計画の大綱について)
①防衛生産・技術基盤戦略策定の背景とその位置づけ、②防衛生産・技術基盤の特性、③防衛生産・技術基盤を取り巻く環境変化について明確にした。
防衛生産・技術基盤の維持・強化を通じ、①安全保障の主体性確保、②抑止力向上への潜在的な寄与及びバーゲニング・パワーの維持・向上、③先端技術による国内産業高度化への寄与を図ることを目指している。
施策の推進に当たっては、①官民の長期的パートナーシップの構築、②国際競争力の強化、③装備品取得の効率化・最適化との両立、といった基本的視点を踏まえることが必要である。
装備品の取得については、現在、国内開発、国際共同開発・生産、ライセンス国産、民生品などの活用、輸入といった複数の取得方法を採用しているが、取得方法のあり方は、防衛生産・技術基盤に直接的な影響を及ぼす。防衛装備移転三原則によって、より機動的・弾力的な取組が可能となった国際共同開発・生産を含め、装備品の特性に応じ、取得方法を適切に選択することが必要である。
防衛生産・技術基盤の維持・強化を図るため、厳しい財政事情を勘案しつつ、①契約制度などの改善、②研究開発にかかる施策、③防衛装備・技術協力などの推進、④サプライチェーンの実態の把握などによる強靭な生産・技術基盤の構築も含めた防衛産業組織に関する取組、⑤防衛装備庁の設置などによる防衛省における体制の強化、⑥関係省庁と連携した取組など、メリハリと効率性を重視した諸施策を推進していく。
参照図表III-4-2-3(防衛生産・技術基盤の維持・強化のための諸施策)
主な装備品分野(陸上装備、需品など、艦船、航空機、弾火薬、誘導武器、通信電子・指揮統制システム、無人装備、宇宙・サイバー)について防衛生産・技術基盤の現状を分析するとともに、防衛大綱で示された自衛隊の体制整備に当たっての重視事項などを踏まえ、それぞれの分野における防衛生産・技術基盤の維持・強化及びそれぞれの装備品の取得に関する今後の方向性を示し、企業側にとっての予見可能性の向上を図る。
参照図表III-4-2-4(各防衛装備品分野の方向性(概要))
防衛生産・技術基盤戦略を踏まえ、防衛省においては、長期契約法の策定など契約制度の改善、装備品の取得に関する組織を統合した防衛装備庁の新設など、防衛生産・技術基盤の維持・強化に資する各種施策を実施してきた。
また、防衛装備庁においては、次のような新たな施策にも取り組んでいる。
防衛生産・技術基盤は我が国の防衛力を支える重要かつ不可欠な基盤であるとの認識のもと、進展の速い民生の先端技術の装備品への速やかな適用、維持整備なども含めたパッケージでの防衛装備・技術協力の推進、サプライチェーンに係るリスクの早期把握、装備品への活用可能な技術力を有する中小企業などと防衛省・自衛隊とのマッチングの推進など、防衛装備庁が中心となり、関係省庁や企業などと連携しながら、防衛装備・技術政策を推進することとしている。