資料編

資料80 F-35の製造等に係る国内企業の参画についての内閣官房長官談話

(平成25年3月1日)

1.航空自衛隊の現用戦闘機の減耗を補充し、その近代化を図るための次期戦闘機については、平成23年12月20日の安全保障会議において、平成24年度以降、F-35A 42機を取得すること、一部の完成機輸入を除き、国内企業が製造に参画すること等を決定し、同日の閣議において了解された。F-35は、米国等の9か国によって開発中の最新鋭の戦闘機であり、その計画的な取得は我が国の防衛上不可欠である。政府としては、この安全保障会議決定及び閣議了解に基づき、平成25年度以降は、F-35の機体及び部品(以下「部品等」という。)の製造(整備を含む。以下同じ。)への国内企業の参画を行った上で、F-35Aを取得することとしている。F-35の部品等の製造への国内企業の参画は、戦闘機の運用・整備基盤を国内に維持する上で不可欠であり、また、我が国の防衛生産及び技術基盤の維持・育成・高度化に資することから、我が国の防衛に大きく寄与するものである。さらに、部品等の世界的な供給の安定化は米国等に資するほか、国内に設置される整備基盤により米軍に対する支援も可能となるため、日米安全保障体制の効果的な運用にも寄与するものである。

2.F-35については、従来我が国が取得した戦闘機と異なり、全てのF-35ユーザー国が世界規模で部品等を融通し合う国際的な後方支援システム(ALGS(Autonomic Logistics Global Sustainment)という新たな方式。以下「本システム」という。)が採用されている。本システムに参加することにより、必要なときに速やかに部品等の供給を受け、迅速な整備が可能となることから、我が国としてもより適切なコストでF-35Aの可動率を維持・向上するため、本システムへの参加が必要である。本システムに参加する場合には、国内企業が製造若しくは保管を行う部品等又は国内企業が提供するF-35に係る役務が我が国から我が国以外のF-35ユーザー国に提供されることが想定されるが、本システムでは、米国政府の一元的な管理の下、F-35ユーザー国以外への移転が厳しく制限されている。

3.政府は、これまで、武器等の輸出については武器輸出三原則等によって慎重に対処してきたところであるが、上記のとおり、国内企業の参画は我が国の安全保障に大きく資することに鑑み、本システムの下、国内企業が製造若しくは保管を行うF-35の部品等又は国内企業が提供するF-35に係る役務の提供については、米国政府の一元的な管理の下で、F-35ユーザー国以外への移転を厳しく制限すること、及び移転は国連憲章の目的と原則に従うF-35ユーザー国に対するもののみに限定されること等により厳格な管理が行われることを前提として、武器輸出三原則等によらないこととする。

なお、政府としては、国連憲章を遵守するとの平和国家としての基本理念は維持していく考えである。

 
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