資料編

資料67 海賊行為の処罰及び海賊行為への対処に関する法律の概要

1 法律の目的

我が国の経済社会及び国民生活における船舶航行の安全確保の重要性並びに国連海洋法条約の趣旨にかんがみ、海賊行為の処罰及び海賊行為への適切かつ効果的な対処のために必要な事項を定め、海上における公共の安全と秩序の維持を図る。

2 海賊行為の定義

「海賊行為」……船舶(軍艦等を除く)に乗り組み又は乗船した者が、私的目的で、公海(排他的経済水域を含む)又は我が国領海等において行う次の行為。

(1)船舶強取・運航支配 (2)船舶内の財物強取等 (3)船舶内にある者の略取 (4)人質強要 (5) (1)〜(4)の目的での<1>船舶侵入・損壊、<2>他の船舶への著しい接近等、<3>凶器準備航行

3 海賊行為に関する罪

海賊行為をした者は次に掲げる刑に処する。

(1) 2(1)〜(4):無期又は5年以上の懲役。人を負傷させたときは無期又は6年以上の懲役。人を死亡させたときは死刑又は無期懲役

(2) 2(5)<1>・<2>:5年以下の懲役

(3) 2(5)<3>:3年以下の懲役

4 海上保安庁による海賊行為への対処

(1) 海賊行為への対処は海上保安庁が必要な措置を実施する。

(2) 海上保安官等は警察官職務執行法第7条の規定により武器使用するほか、現に行われている2(5)2)の制止に当たり、他の制止の措置に従わず、なお2(5)2)の行為を継続しようとする場合に、他に手段がないと信ずるに足りる相当な理由のあるときには、その事態に応じて合理的に必要と判断される限度において、武器使用が可能。

5 自衛隊による海賊行為への対処

(1) 防衛大臣は、海賊行為に対処するため特別の必要がある場合には、内閣総理大臣の承認を得て海賊対処行動を命ずることができる。承認を受けようとするときは対処要項を作成して内閣総理大臣に提出(急を要するときは行動の概要を通知すれば足りる)。

(2) 対処要項には、海賊対処行動の必要性、区域、部隊の規模、期間、その他重要事項を記載。

(3) 内閣総理大臣は、承認をしたとき及び海賊対処行動が終了したときに国会報告を行う。

(4) 自衛官に海上保安庁法の所要の規定、武器使用に関する警察官職務執行法第7条の規定及び4(2)を準用。

 
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