資料編

資料35 日米安全保障協議委員会(「2+2」)共同発表(仮訳)(平成23年6月21日)

より深化し、拡大する日米同盟に向けて:

50年間のパートナーシップの基盤の上に

(ワシントンDC、平成23年6月21日)

I.序文

日米同盟が第二の半世紀に入るに当たり、日米安全保障協議委員会(SCC)の構成員たる閣僚は、日米同盟が日本及び米国の安全保障並びに21世紀のアジア太平洋地域の平和、安定及び経済的繁栄にとって引き続き不可欠であることを確認した。

閣僚は2011年6月21日に会し、3月11日の地震、津波及び原子力の非常事態に対応した日本政府及び米国政府の間の緊密な協力について議論した。自衛隊と米軍によるかつてない共同の運用を含むこの協力は、本日のSCC会合において発出されたSCC文書「東日本大震災への対応における協力」において述べられているように、日米同盟に対する信頼を新たにし、日本と米国が過去半世紀にわたり築いてきた友情を深めた。日本は、米国から提供された広範な支援に対する心からの謝意を表明し、米国政府は、日本の復興のための支援を継続することを誓った。

SCCの構成員たる閣僚は、ますます不確実になっている安全保障環境によってもたらされる課題に継続して取り組む必要性を認識した。これには、地域における軍事能力及び活動の拡大、北朝鮮の核・ミサイル計画及び挑発的行動、非伝統的な安全保障上の懸念の顕在化並びに宇宙、公海及びサイバー空間などに対するその他の変化する脅威が含まれる。閣僚は、また、アフガニスタン及び中東における過激主義に対する継続中の取組を含む、増大するグローバルな課題に留意した。これらの課題は、地域の安全及び安定の維持における日米同盟の不可欠な役割のみならず、日米両国が協力を深化させ、拡大させる必要性を強調するものである。日米の共有された価値、すなわち民主主義の理想、共通の利益並びに人権及び法の支配の尊重は、引き続き日米同盟の基礎である。これらの現存する又は顕在化しつつある課題に対処するために、閣僚は、日米の協力を適応させ、日米の部隊を近代化し、相互運用性を向上し、新たな技術の開発において協力することによって、日米同盟の能力を強化し続ける必要性に留意した。

米国政府は、核及び通常戦力の双方のあらゆる種類の米国の軍事力によることを含め、日本の防衛並びに地域の平和及び安全へのコミットメントを再確認した。日本政府は、米軍による施設及び区域の安定的な使用を提供し、在日米軍駐留経費負担の提供を通じて米軍の円滑な運用を支援するとのコミットメントを再確認した。日米双方は、本日のSCC会合において発出されたSCC文書「在日米軍駐留経費負担」において述べられたように、在日米軍駐留経費負担に関する新たな協定が成功裡に締結されたことを歓迎した。

SCCの構成員たる閣僚は、2010年5月28日のSCC共同発表及び本日のSCC会合において発出されたSCC文書「在日米軍の再編の進展」によって補完された2006年5月1日のSCC文書「再編の実施のための日米ロードマップ」において述べられている再編案を着実に実施する決意を再確認した。

2010年1月19日のSCCの共同発表に基づき、日米両政府は、変化する安全保障環境の中、共通の利益を有する幅広い分野において、日米同盟の深化に関する精力的な協議を実施した。閣僚は、次のようなこれらの協議の結果を支持した。

II.共通の戦略目標

変化する安全保障環境に関する評価に基づき、閣僚は、2005年及び2007年の日米同盟の共通の戦略目標を再確認し、更新した。閣僚は、次のものが日米同盟の共通の戦略目標を示すと決定した。

・日本の安全を確保し、アジア太平洋地域における平和と安定を強化する。

・日米両国に影響を与える多様な事態に対処する能力を向上させる。

・北朝鮮による挑発を抑止する。六者のプロセス、そして不可逆的な措置を通じて、ウラン濃縮計画を含む北朝鮮の完全かつ検証可能な非核化を達成する。拡散、弾道ミサイル、不法活動及び北朝鮮による拉致の問題を含む人道上の懸念に関連する課題を解決する。国際連合安全保障理事会決議及び2005年9月の六者会合の共同声明を完全に実施する。平和的な統一を支持する。

・豪州及び韓国の双方のそれぞれとの間で、三か国間の安全保障及び防衛協力を強化する。

・日本、米国及び中国の間の信頼関係を構築しつつ、地域の安定及び繁栄における中国の責任ある建設的な役割、グローバルな課題における中国の協力並びに中国による国際的な行動規範の遵守を促す。中国の軍事上の近代化及び活動に関する開放性及び透明性を高め、信頼醸成の措置を強化する。

・両岸関係の改善に関するこれまでの進捗を歓迎しつつ、対話を通じた両岸問題の平和的な解決を促す。

・アジア太平洋地域におけるロシアの建設的な関与を促す。北方領土問題の解決を通じた日露関係の完全な正常化を実現する。

・地域の安全保障環境を不安定にし得る軍事上の能力を追求・獲得しないよう促す。

・日本、米国及び東南アジア諸国連合(ASEAN)間の安全保障協力を強化し、民主的価値及び統合された市場経済を促進するとのASEANの努力を支援する。

・強く揺るぎないアジア太平洋のパートナーとしてインドを歓迎し、インドの更なる地域への関与及び地域的枠組みへの参加を促す。日米印三か国間の対話を促進する。

・ASEAN地域フォーラム(ARF)、ASEAN拡大国防相会議(ADMM+)、アジア太平洋経済協力(APEC)及び東アジア首脳会議(EAS)を含む、開放的かつ多層的な地域のネットワーク及びルール作りのメカニズムを通じた効果的な協力を促進する。

・脆弱な国家を支援し、人間の安全保障を促進するために、人道支援、ガバナンス及び能力構築、平和維持活動並びに開発援助の分野における日米協力を強化する。

・テロを防止し、根絶する。

・必要な抑止力を維持しつつ、核兵器のない世界における平和及び安全を追求する。大量破壊兵器及びその運搬手段の不拡散及び削減を推進し、各国に不拡散上の義務の違反について責任を果たさせる。

・海賊の防止及び根絶、自由で開放的な貿易及び商業の確保並びに関連する慣習国際法及び国際約束の促進を含む、航行の自由の原則を守ることにより海上交通の安全及び海洋における安全保障を維持する。

・我々が利益を共有する宇宙及びサイバー空間の保護並びにそれらへのアクセスに関する日米の協力を維持する。情報及び宇宙のシステムの安全を含む、死活的に重要なインフラの抗堪性を促進する。

・災害予防及び災害救援における国際的な協力を強化する。

・民生用の原子力計画における最高水準の安全を促進し、原子力事故に対処するための能力を向上させる。

・エネルギー及びレア・アースを含む死活的に重要な資源及び原料の供給の多様化についての対話を促進する。

・日本を常任理事国として含む国連安全保障理事会の拡大を期待しつつ、国連安全保障理事会が、改革を通じて、その任務を果たし、新しい世紀の課題に効果的に対処する能力を向上させるための努力につき協議する。

・民主的改革を支持し、促す機会を追求することで、中東及び北アフリカにおける安定及び繁栄を促進する。

・イランの国際的義務の完全な遵守及び核計画に関するP5+1との真剣な交渉への復帰を確保する。デュアル・トラック・アプローチの一部として、日本及び米国は国際連合安全保障理事会決議の着実な実施を継続する。

・アフガニスタンにおける治安権限委譲の開始を歓迎しつつ、アフガニスタン治安部隊(ANSF)への継続的な支援を通じて持続的な進展を確保し、効果的なガバナンスと開発を促進するための民生面での努力を強化する。

・文民統治の強化及び経済改革の実施のためのパキスタンの努力を支持する。

III.日米同盟の安全保障及び防衛協力の強化

変化する地域及び世界の安全保障環境に対処するため、SCCの構成員たる閣僚は、二国間の安全保障及び防衛協力の更なる向上を追求することを決定した。

日本政府は、2010年に、新たな防衛計画の大綱を策定した。新たな防衛計画の大綱は、高い即応性、機動性、柔軟性、持続性及び多目的性を特徴とし、高度の技術力と情報能力によって強化された「動的防衛力」の構築を目的とする。米国政府は、地域における抑止力を強化し、アジア太平洋地域における軍事的プレゼンスを維持・強化するとの2010年の「4年ごとの米国国防政策の見直し」(QDR)にあるコミットメントを再確認し、また、核技術及び戦域弾道ミサイルの拡散、アクセス拒否/エリア拒否能力並びに宇宙、公海及びサイバー空間などに対するその他の変化する脅威といった課題に対処するよう地域の防衛態勢を適合させる意図を確認した。

上記の新たに策定された国家安全保障戦略を反映しつつ、閣僚は以下のとおり重点分野を特定した。

(1)抑止及び緊急時の対処の強化

・閣僚は、二国間の計画検討作業のこれまでの進展を歓迎し、日米同盟が日本をよりよく防衛し、様々な地域の課題に対処できるよう、二国間の計画を精緻化する努力を行うことを再確認した。この努力は、平時及び危機における調整のための二国間の政府全体のメカニズムを強化し、米軍及び自衛隊による日本国内の施設への緊急時のアクセスを改善することを目的とする。

・閣僚は、日本及び米国の役割、任務及び能力を継続的に検討する必要性を強調し、運用面での協力をより強化する分野を特定するとのこのプロセスの目的を確認した。

・閣僚は、非戦闘員退避活動における二国間の協力を加速することを決定した。

・閣僚は、能動的、迅速かつシームレスに地域の多様な事態を抑止し、それらに対処するために、共同訓練・演習を拡大し、施設の共同使用を更に検討し、情報共有や共同の情報収集・警戒監視・偵察(ISR)活動の拡大といった協力を促進することを決定した。

・閣僚は、弾道ミサイル防衛に係る協力について両国が達成した進展を歓迎した。SM-3ブロック・Aの共同開発事業に関し、閣僚は、生産及び配備段階に移行する場合に備え、将来の課題を検討することを決定した。この観点から、米国政府から今後要請され得るSM-3ブロック・Aの第三国への移転は、当該移転が日本の安全保障に資する場合や国際の平和及び安定に資する場合であって、かつ、当該第三国がSM-3ブロック・Aの更なる移転を防ぐための十分な政策を有しているときには、米国に対する武器及び武器技術の供与に関する2006年6月23日の交換公文に従い、認められ得る。閣僚は、武器・武器技術共同委員会(JAMTC)をそのような将来の第三国移転に関する協議の機関に指定した。

・閣僚は、短期的及び長期的に地域の安定を向上させる最も効果的な方法(核能力によるものを含む。)を決定する協議の機関として、定期的な二国間の拡大抑止協議が立ち上げられたことを歓迎した。

・閣僚は、安全保障分野における日米宇宙協議及び宇宙状況監視、測位衛星システム、宇宙を利用した海洋監視、デュアルユースのセンサーの活用といった諸分野におけるあり得べき将来の協力を通じ、日米二国間の宇宙における安全保障に関するパートナーシップを深化させる最近の進展があったことを認識した。

・閣僚は、サイバー空間における増大する脅威によってもたらされる課題に日本及び米国が立ち向かうための新たな方法について協議することを決意し、サイバー・セキュリティに関する二国間の戦略的政策協議の設置を歓迎した。閣僚は、サイバー・セキュリティに関する効果的な二国間協力には、政府全体による解決及び民間部門との調整が必要であることを認識した。

(2)地域及びグローバルな場での日米同盟の協力

・閣僚は、前述の三か国間の安全保障協力を含め、地域において共通の価値を共有する諸国と安全保障及び防衛協力を促進することの重要性を強調した。閣僚は、状況が許す場合には共同演習及び相互の後方支援を通じて、人道支援・災害救援及びその他の活動での三か国間及び多国間の協力を促進するための努力を奨励した。

・閣僚は、また、地域の人道支援・災害救援分野の後方支援の拠点を日本に設置することの重要性につき一致した。

・閣僚は、災害救援、平和維持、復興及びテロ対策を含む国際的な活動における更なる協力の重要性を強調した。

・閣僚は、航行の自由を保護し、安全で確実なシーレーンを確保するため、海洋安全保障及び海賊対処において更に協力する意図を確認した。

・閣僚は、自衛隊及び米軍に関連する環境面での課題について協力を継続することを決定した。

(3)日米同盟の基盤の強化

・閣僚は、これまでの進展を歓迎しつつ、情報保全についての日米協議で議論されてきたとおり、政府横断的なセキュリティ・クリアランスの導入やカウンター・インテリジェンスに関する措置の向上を含む、情報保全制度の更なる改善の重要性を強調した。閣僚は、また、情報保全のための法的枠組みの強化に関する日本政府の努力を歓迎し、そのような努力が情報共有の向上につながることを期待した。

・閣僚は、運用面での協力についてより効果的で、顕在化しつつある安全保障上の課題により適合したものとし、様々な事態により良く対応することができるよう二国間の枠組みを継続的に検討し、強化していくことの重要性を認識した。

・閣僚は、日米間のより緊密な装備・技術協力は、強固な同盟の基礎となる要素であることを確認した。特に、先進諸国が国際共同開発・生産を通じて、装備品の高性能化を実現しつつ、コストの高騰に対応している中、日本政府はそのような流れに対応するために現在行っている検討を促進する。米国政府は、この日本政府の努力を奨励する。

閣僚は、日米同盟の過去50年を顧みて、達成された全てに大いに満足した。同時に、閣僚は、日米同盟がかつてないほど重要であり、また、かつてないほど重要な課題に直面していることを認識した。この文脈において、双方は、地域及び世界が直面するあらゆる安全保障面、戦略面及び政治面の課題に関する協議及び調整をより充実させるため引き続き取り組んでいく必要性を認識した。

在日米軍の再編の進展(仮訳)

(ワシントンDC、平成23年6月21日)

閣僚は、現下の変化する地域の安全保障環境に鑑み、抑止力を維持し、日米同盟の能力を強化するために、沖縄を含む日本における米軍のプレゼンスの重要性が高まっていることを強調した。

閣僚は、沖縄を含む地元への影響を軽減するとのコミットメントを再確認した。それは、日本における米軍の持続的なプレゼンスの確保に寄与することとなる。

閣僚は、2006年の再編のロードマップ以降多くの分野において達成された重要な成果を賞賛し、その目的の実現に向けた進展を継続していくことを決意した。

1.沖縄における再編

(a)普天間飛行場の代替の施設

・SCCの構成員たる閣僚は、ロードマップの鍵となる要素である普天間飛行場の代替の施設の重要性を再確認した。

・閣僚は、2010年5月28日のSCC共同発表において確認されたように代替の施設はキャンプ・シュワブ辺野古崎地区及びこれに隣接する水域に設置されることを想起しつつ、普天間飛行場の代替の施設に係る専門家検討会合(以下「専門家会合」という。)の分析に基づき、位置、配置及び工法の検証及び確認を完了した。

・閣僚は、代替の施設を、海面の埋立てを主要な工法として、専門家会合によって記されたようなV字型に配置される2本の滑走路を有するものとすることを決定した。それぞれの滑走路部分は、オーバーランを含み、護岸を除いて、均一の荷重支持能力を備えて、1800mの長さを有する。閣僚は、環境影響評価手続及び建設が著しい遅延がなく完了できる限り、この計画の微修正を考慮し得ることを決定した。

(b)沖縄における兵力削減及び第三海兵機動展開部隊(IIIMEF)の要員のグアムへの移転

・SCCの構成員たる閣僚は、西太平洋において米軍が地理的に分散し、運用面での抗堪性があり、かつ、政治的に持続可能な態勢を実現するための、より広範な戦略の一部として、IIIMEFの要員約8000人及びその家族約9000人を沖縄からグアムに移転するとのコミットメントを再確認した。

・閣僚は、2009年2月17日のグアム協定の締結及び日米双方がとった財政措置を含むこれまでの具体的な進展に留意した。閣僚は、ロードマップ及びグアム協定の規定及び条件に従って移転を着実に実施するために必要な資金を確保するとのコミットメントを確認した。

・米側は、地元の懸念に配慮しつつ、抑止力を含む地域の安全保障全般の文脈において、沖縄に残留するIIIMEFの要員の部隊構成を引き続き検討する。

(c)閣僚は、普天間飛行場の代替の施設及び海兵隊の移転の完了が従前に目標時期とされていた2014年には達成されないことに留意するとともに、日米同盟の能力を維持しつつ、普天間飛行場の固定化を避けるために、上記の計画を2014年より後のできる限り早い時期に完了させるとのコミットメントを確認した。

(d)土地の返還

・SCCの構成員たる閣僚は、嘉手納以南の施設及び区域の返還はロードマップに記されたように着実に実施されることを再確認した。

・閣僚は、沖縄に残留するIIIMEFの要員の部隊構成の検討の結果を反映して、できるだけ早く、統合のための詳細な計画を完成させ、公表することを決定した。

・閣僚は、沖縄に関する特別行動委員会(SACO)最終報告の計画及び措置を着実に実施することの重要性を更に強調した。

(e)再編案間の関係

・SCCの構成員たる閣僚は、沖縄からグアムへのIIIMEFの要員及びその家族の移転は、普天間飛行場の代替の施設の完成に向けての具体的な進展にかかっていることを再確認した。グアムへの移転は、嘉手納以南の大部分の施設の統合及び返還を実現するものである。

(f)閣僚は、双方がホテル・ホテル訓練区域に関する更なる措置を含む沖縄における影響の緩和のための更なる方法を引き続き探求することを決定した。

(g)嘉手納における騒音の軽減

・SCCの構成員たる閣僚は、嘉手納飛行場の主要滑走路の反対側に海軍駐機場を移転する計画の進展を歓迎し、また、騒音規制に関する1996年の合同委員会合意へのコミットメントを再確認した。

2.米陸軍司令部能力の改善

・SCCの構成員たる閣僚は、第1軍団(前方)の発足を含めたキャンプ座間における米陸軍司令部の改編を歓迎した。

・閣僚は、また、日本の2012会計年度までの陸上自衛隊中央即応集団司令部のキャンプ座間への移転についての、これまでの着実な進展を歓迎した。

・これらの進展は、米陸軍及び陸上自衛隊による調整された司令部能力の向上に寄与することとなる。

3.横田飛行場

・閣僚は、共同統合運用調整所(BJOCC)が、日本の2011会計年度末までに運用を開始することに留意した。これは、情報共有を含め、二国間の司令部の調整の強化における重要な前進となるものである。

・閣僚は、航空自衛隊航空総隊司令部の横田への移転の重要な進展を歓迎した。

・閣僚は、横田空域の一部について、2008年に管制業務が日本側に返還されたことを歓迎した。

4.厚木飛行場から岩国飛行場への空母艦載機部隊の移駐

・閣僚は、空母艦載機の岩国飛行場への移駐に必要となる施設の整備及び航空管制の手続を含む訓練空域の調整に関するこれまでの進展を歓迎した。

・SCCの構成員たる閣僚は、日本の2012会計年度中の岩国飛行場における民間航空の再開に向けて作業することを決定した。

・日本政府は、新たな自衛隊の施設のため、馬毛島が検討対象となる旨地元に説明することとしている。南西地域における防衛態勢の充実の観点から、同施設は、大規模災害を含む各種事態に対処する際の活動を支援するとともに、通常の訓練等のために使用され、併せて米軍の空母艦載機離発着訓練の恒久的な施設として使用されることになる。閣僚は、長年にわたる問題の解決は、同盟への極めて重要な前向きな貢献となると認識した。

5.訓練移転

・閣僚は、移転先にグアムを含める2011年1月の航空機の訓練移転に関する合同委員会合意を歓迎した。

・閣僚は、日本国内及びグアム等の日本国外において、二国間及び単独の訓練の拡大も含め訓練移転の更なる選択肢を検討することを決定した。

6.施設の共同使用

・SCCの構成員たる閣僚は、沖縄を含む日本国及び太平洋地域にある米国の施政下にある領域において日米の施設への二国間のアクセスの拡大を促進するための共同使用に関する作業部会の設置を歓迎した。このステップは、より緊密な二国間の調整、相互運用性の向上及び地元とのより強固な関係に寄与する。

7.環境

・閣僚は、環境に関する合意に係る作業部会の設置を歓迎し、返還前の環境調査のための米軍施設・区域への合理的な立入りに関する合意の検討を加速することを決定した。

東日本大震災への対応における協力(仮訳)

(ワシントンDC、平成23年6月21日)

2011年3月11日、日本はこれまでに経験したことのない最大の地震に見舞われた。激しい地震は巨大な津波を引き起こし、福島第一原子力発電所での深刻な非常事態をもたらした。このような未曾有の多元的な災害は、国際社会への重要な教訓となる。日本の経験に鑑み、複合的な非常事態に対応し、そのような事態において相互に支援できるよう、より良い備えをしておくことは、全ての国にとっての責務である。特に重要なのは、原子力発電所に影響を与える災害に対する非常時の計画の整備である。

閣僚は、今次の災害への対処における日米間の緊密かつ効果的な協力は、二国間の特別な絆を証明し、同盟の深化に寄与したとの点で一致した。閣僚は、特に、以下の分野における協力を強調した。

・自衛隊は、その歴史上、最大の災害救援活動に従事している。この努力を支援するため、米国は、「トモダチ作戦」の下、人道支援、災害救援及びその他の活動を実施した。この大規模な共同対処の成功は、長年にわたる二国間の訓練、演習及び計画の成果を実証した。

・自衛隊及び米軍は、市ヶ谷、横田及び仙台に、日米両国の要員が配置され、意思疎通及び運用調整の中心としての機能を果たした日米調整所を立ち上げた。この経験は、将来のあらゆる事態への対応のモデルとなる。

・原子力発電所事故への対応には、両国の政府及び民間部門の専門家並びに日米両政府の複数の省庁が関与した。その経験は、リアルタイムの情報共有、効果的な調整及び複合的な非常事態への包括的な政府全体としての対応を促進するための二国間及び多国間のメカニズムの重要性を示した。

・福島第一原子力発電所事故への二国間の対応は、情報共有、防護、除染及び被害局限といった分野における政策協調及び協力のための場としての化学・生物・放射線・核(CBRN)防護作業部会の強化が重要であることを示した。

・閣僚は、地方公共団体によって実施される防災訓練への米軍の参加が、米軍及び基地を受け入れているコミュニティとの間の関係の強化に資するとの認識を共有した。

閣僚は、この経験から学び、将来における多様な事態に対応するための日米両国の能力を向上させる決意を共有した。

在日米軍駐留経費負担(仮訳)

(ワシントンDC、平成23年6月21日)

閣僚は、在日米軍駐留経費負担の包括的な見直しの結果及びそれに続く2011年4月の在日米軍駐留経費負担に係る現行の特別協定の発効を歓迎した。これは日米同盟の柱の一つとなるものである。

閣僚は、現行の特別協定の有効期間である5年の間、在日米軍駐留経費負担全体の水準が日本の2010会計年度の水準(日本の2010会計年度予算額1,881億円が目安)に維持されることを確認した。閣僚は、日米両政府が、現行の特別協定の期間中、日本側が負担する労務費及び光熱水料等の段階的な削減を実施するとともに、当該減額分を提供施設整備費に充当することを確認した(現行特別協定の期間中の提供施設整備費の水準は各年度206億円を下回らないこととする。)。

SCCの構成員たる閣僚は、エネルギー効率をより高めるとともに、米国の運用上及び任務上の所要に対応するため、提供施設整備をより効率的、安定的及び透明性のあるものにするよう、合同委員会を通じて作業する意図を確認した。

閣僚は、労務費を削減しつつも、駐留軍等労働者の安定的な雇用を維持するために引き続き最大限努力することで一致した。

 
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