資料編

資料10 平成25年度の防衛力整備等について

平成25年1月25日 安全保障会議決定

閣議決定

(「平成23年度以降に係る防衛計画の大綱」の見直し等について)

1 「平成23年度以降に係る防衛計画の大綱」(平成22年12月17日安全保障会議決定・閣議決定。以下「現大綱」という。)が策定されて以降、我が国周辺の安全保障環境は、一層厳しさを増している。北朝鮮は、「人工衛星」と称するミサイルの発射を行った。また、中国は、我が国領海侵入及び領空侵犯を含む我が国周辺海空域における活動を急速に拡大させている。

一方、米国は、新たな国防戦略指針の下、アジア太平洋地域におけるプレゼンスを強調し、我が国を含む同盟国等との連携・協力の強化を指向している。なお、東日本大震災における自衛隊の活動においても、対応が求められる教訓が得られている。

このような変化を踏まえ、日米同盟を更に強化するとともに、現下の状況に即応して我が国の防衛態勢を強化していく観点から現大綱を見直し、自衛隊が求められる役割に十分対応できる実効的な防衛力の効率的な整備に向けて取り組むこととし、平成25年中にその結論を得ることとする。

また、「中期防衛力整備計画(平成23年度〜平成27年度)」(平成22年12月17日安全保障会議決定・閣議決定)は、これを廃止することとし、今後の中期的な防衛力の整備計画については、現大綱の見直しと併せて検討の上、必要な措置を講ずることとする。

(平成25年度の防衛予算の編成の準拠となる方針)

2 現大綱の見直し等の結論は平成26年度以降に反映されることとなる中で、平成25年度の防衛予算を編成するに当たっては、その準拠とする方針を別紙のとおり定め、上記の安全保障環境の変化への対応に必要な防衛力を整備することとする。

(別紙)

平成25年度の防衛予算の編成の準拠となる方針

1 考慮すべき環境

我が国周辺の安全保障環境については、北朝鮮が引き続き核・弾道ミサイルの開発を推進し、地域の重大な不安定要因であり続けているほか、周辺国による軍事力の近代化及び軍事的活動の活発化が継続している。また、最近の中国による領海侵入及び領空侵犯を含む我が国周辺海空域における活動の活発化については十分に考慮する必要がある。さらに、東日本大震災という未曽有の大災害の経験により、大規模災害に対する備えの重要性が改めて認識されている。

また、財政事情については、「平成25年度予算編成の基本方針」(平成25年1月24日閣議決定)において、「平成25年度予算は、緊急経済対策に基づく大型補正予算と一体的なものとして、いわゆる「15ヶ月予算」として編成する」、また、「財政状況の悪化を防ぐため、民主党政権時代の歳出の無駄を最大限縮減しつつ、中身を大胆に重点化する」こととされていることに配慮が必要である。

2 基本的考え方

平成25年度においては、「1 考慮すべき環境」に示した我が国周辺の安全保障環境を踏まえ、以下の事項を重視しつつ、我が国の領土、領海、領空及び国民の生命・財産を守る態勢の強化に取り組む。

(1)各種事態への実効的な対応及び即応性の向上

南西地域を始めとする我が国周辺における情報収集・警戒監視及び安全確保に関する能力、島嶼(しょ)防衛のための輸送力・機動力・防空能力、サイバー攻撃や弾道ミサイル攻撃への対応能力の向上に重点的に取り組む。また、かかる任務等の遂行に不可欠な情報機能や指揮通信能力を強化するとともに、装備品の可動率の向上等の即応性強化のための施策を推進する。

さらに、大規模自然災害や特殊な災害に際して、国民の生命・財産を守るため、東日本大震災の教訓を踏まえた自衛隊の災害対応能力を強化する。なお、自衛官の定数については、現大綱の見直し等の結論を得るまで変更しないこととする。

(2)日米同盟の強化

我が国周辺の安全保障環境が一層厳しさを増していることから、「日米防衛協力のための指針」の見直しの検討を含め、日米防衛協力の実効性を更に強化するための施策を推進する。

米軍の抑止力を維持しつつ、沖縄県を始めとする地元の負担軽減を図るため、普天間飛行場の移設を含む在日米軍の兵力態勢の見直し等についての具体的措置を着実に実施する。

(3)国際的な安全保障環境の一層の安定化への取組

アジア太平洋地域を始めとする国際的な安全保障環境の一層の安定化を図るため、人道支援・災害救援その他の分野における各種協力、二国間及び多国間の対話等を更に推進する。

また、大量破壊兵器や弾道ミサイルの拡散防止、テロ・海賊への対処、国連平和維持活動等の活動に主体的かつ積極的に対応するため、自衛隊による国際活動基盤の強化等に取り組む。

(4)効果的・効率的な防衛力整備

厳しい財政事情を踏まえ、現下の安全保障環境における喫緊の課題への対応に重点的に取り組むとともに、精強性向上の観点から自衛官の階級・年齢構成の適正化など人的資源の効果的な活用を図るほか、装備品等の効率的な取得のための取組を推進する。

特に、ライフサイクルコストの抑制を徹底して費用対効果を高めるとともに、昨年の調達に係る不適切な事案を踏まえ、調達プロセスの透明化及び契約制度の適正化を推進する。

 
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