コラム

<VOICE>UNMISSにおけるオーストラリア国防軍と自衛隊の協力
「平成25年版 防衛白書」へのオーストラリア陸軍中佐による寄稿

オーストラリア陸軍中佐 ダミアン・ドレイン

12(平成24)年、オーストラリアと日本の防衛当局は、国連南スーダン共和国ミッション(UNMISS)への支援において、自衛隊要員とオーストラリア国防軍要員の平和維持協力を強化することに合意しました。これを受け、同年8月に、オーストラリア国防軍の第一次連絡調整要員が南スーダン共和国に派遣されました。
私は、第二次連絡調整要員として、もうひとりのオーストラリア国防軍要員とともに、13(同25)年2月に南スーダン共和国に派遣され、日本からUNMISSに派遣されている自衛隊部隊との協力業務を開始しました。今後6か月間、UNMISSの任務遂行に関する情報の提供や国連などの関係機関と連絡調整を実施する際の支援を通じて、当地の自衛隊部隊と緊密に連携することとなります。
南スーダン共和国では、重要なインフラの整備に焦点をあてたプロジェクトに対して、自衛隊部隊とオーストラリア国防軍要員が共同して取り組んでいます。長きにわたる紛争の終結後に、自らの国家を建設するために取り組んでいる南スーダン共和国国民の努力に対して、こうした協力を通じて、より効果的に貢献することができます。主な事業としては、新設されるジュバ大学法学部校舎の工程のモニタリングと、ジュバ市ナバリ地区コミュニティー道路整備の2つがあげられます。

ジュバ市ナバリ地区コミュニティー道路において前任のオーストラリア国防軍要員であるスタンレー中佐(右から2番目)と現地支援調整所の隊員が、道路整備の進捗状況について、地元のコミュニティー代表と協議している様子
ジュバ市ナバリ地区コミュニティー道路において前任のオーストラリア国防軍要員であるスタンレー中佐(右から2番目)と現地支援調整所の隊員が、道路整備の進捗状況について、地元のコミュニティー代表と協議している様子
ジュバ大学においてオーストラリア国防軍要員のドレイン中佐(右から2番目)とローソン伍長(左から1番目)が、現地支援調整所の技官とともに、法学部校舎の建設の進捗状況を視察している様子
ジュバ大学においてオーストラリア国防軍要員のドレイン中佐(右から2番目)とローソン伍長(左から1番目)が、現地支援調整所の技官とともに、法学部校舎の建設の進捗状況を視察している様子

新しい法学部校舎の建設は、法の支配の確立および司法制度の強化というUNMISSの重要な任務の遂行に大きく寄与するものです。また、ジュバ市ナバリ地区コミュニティー道路の整備は、現地の民間人に職業訓練と雇用の機会を与えるとともに、ジュバ市内の主要道路に対する人や車両によるアクセスを改善するものです。
南スーダン共和国で我々が遂行している任務の土台には、東ティモール、カンボジア、イラクなどでの平和維持任務におけるオーストラリアと日本の協力の歴史があります。UNMISSにおけるオーストラリア国防軍と自衛隊の協力は、近年拡大している二国間の防衛協力を象徴したものであり、地域的なレベルとともに、より広い範囲の平和と安定に力を合わせて貢献するための能力と相互運用性を強化するものです。

 
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