第III部 わが国の防衛に関する施策
第2節 調達の効率化および調達の公正性・透明性向上のための取組

このような状況を踏まえ、調達の効率化とその公正性・透明性向上のための取組を通じ、防衛装備品の効果的・効率的な取得を図るとともに防衛生産・技術基盤の維持・強化を図ることとしている。

1 防衛省における基本的な取組
1 調達効率化に向けた取組

防衛省は、03(同15)年9月に開催された「総合取得改革推進委員会」およびその下で総合取得改革にかかる各種検討を加速すべく、07(同19)年10月に設置された「総合取得改革推進プロジェクトチーム」などにおいて、装備品の調達の効率化・合理化などの実施に取り組んできた。こうした従来の調達効率化に向けた取組は、一定のコスト縮減を実現してきたものの、現下の防衛予算や装備品調達を取り巻く厳しい状況にかんがみれば、さらなる調達効率化に向けた努力が今後の防衛力整備にとって不可欠である。
防衛省においては、こうした認識の下、13(同25)年3月に、改めて総合取得改革推進プロジェクトチーム会合を開催し、平成26年度予算要求に調達効率化の成果を反映することなどを目指して、省内の関係部局が連携しつつ、調達改革を強力に推進するため所要の検討を進めることとしたところである1
(図表III-3-2-1参照)

図表III-3-2-1 コスト縮減状況
2 公正性・透明性の向上のための取組

防衛省では、装備品などの取得にかかわる公正性・透明性の向上を目指し、契約の適正化のための措置やチェック機能の強化などといった観点から、これまで様々な施策を講じてきた。
昨今では、政府全体の公共調達の適正化の一環として、防衛省においても、総合評価落札方式2の導入拡大、複数年度契約の拡大、入札手続の効率化、随意契約の見直しなどに取り組んでいる。こうした施策とあわせて、06(同18)年7月、装備品の調達を行っている装備本部3(当時)に監査担当副本部長を、内部部局には監査課を設置し、チェック機能の強化に努めている。
しかしながら、そのような取組にも関わらず12(同24)年12月、川崎重工業が受注した陸上自衛隊新多用途ヘリコプターの開発事業に関して、幹部自衛官が「入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律」(いわゆる「官製談合防止法」)違反の罪で東京簡易裁判所に略式命令請求されるという事案が発生した。防衛省では、直ちに部外有識者を加えた体制を立ち上げ、本件の事実確認や再発防止策などを検討している。
また、12(同24)年1月、三菱電機およびその子会社・関係会社4社ならびに住友重機械工業およびその子会社4が過大請求を行っていたことが明らかとなった。この事案に関する調査分析を経て、防衛省では同年12月、制度調査の強化、違約金の見直し、指名停止措置要領の整備などを柱とする再発防止策を公表した。


1)ただし、自衛隊がその任務を円滑に遂行するためには、地域社会との調和にも配慮する必要がある。
2)技術的要素の評価などを行うことが適当であるものについて、価格のみによる自動落札方式とは異なり、価格以外の要素と価格とを総合的に評価して落札者を決定する方式
3)07(平成19)年9月に装備施設本部に改編
4)三菱電機、三菱スペース・ソフトウエア、三菱プレシジョン、三菱電機特機システム、太洋無線、住友重機械工業、住重特機サービス
 
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