第III部 わが国の防衛に関する施策
2 通常兵器の軍備管理関連条約などへの取組

通常兵器の規制に関しては、人道的な観点と安全保障上の必要性を踏まえつつ、特定通常兵器使用禁止・制限条約(CCW:Convention on Prohibitions or Restrictions on the Use of Certain Conventional Weapons which may be deemed to be Excessively Injurious or to have Indiscriminate Effects)など、わが国は各種条約に加盟している。
特に、クラスター弾の規制問題については、米国、中国、ロシアなどの主要な生産国および保有国が参加するCCWの枠組において実効的な議定書が作成されることが重要である。同枠組内での議論はひとまず終了したが、将来、再交渉が決まった際には、引き続き積極的に交渉に貢献する。
さらにわが国は、CCWの枠組外で交渉が行われ、採択されたクラスター弾に関する条約(オスロ条約)1にも加盟しており、同条約が10(同22)年8月に発効したのに基づき、自衛隊が保有するすべてのクラスター弾の使用などが直ちに禁止されることとなった。
同条約発効後原則8年以内に、保有するクラスター弾を廃棄することが規定されていることから、同弾の廃棄を安全かつ着実に行っていく。一方、防衛省・自衛隊としては現在、わが国の安全保障を確保するため、クラスター弾の機能の一部を喫緊に補完するための精密誘導型装備などの導入を進めている。
また、対人地雷の規制については、99(同11)年に発効した対人地雷禁止条約(オタワ条約)に基づき、防衛省・自衛隊は03(同15)年2月までに、この条約で認められた必要最小限の例外的な保有分を除き、全ての対人地雷を廃棄した。一方、わが国の安全保障を確保するため、条約上の対人地雷に該当せず、一般市民に危害を与えるおそれのない代替手段として指向性散弾2を含む対人障害システムの整備を進めている。
さらに、防衛省は、例外保有などに関する年次報告を国連に対して行うなど、国際社会の対人地雷問題への取組に積極的に協力してきた3
このほか、防衛省・自衛隊は、軍備や軍事支出の透明性向上などを狙いとした国連の各種制度(国連軍備登録制度、国連軍事支出報告制度)にも参画し、必要な報告を行うとともに、制度の見直し・改善のための政府専門家会合などに随時職員を派遣している。
参照 資料78


1)クラスター弾の主要な生産国および保有国である米国、中国、ロシアなどはオスロ条約には署名していない。
2)敵歩兵の接近を妨害する対歩兵戦闘用爆薬。民間人が無差別に被害を受けないよう隊員が目標を視認して作動させるものであり、人の存在、接近または接触により爆発するように設計されたものではない。
3)防衛省は、カンボジアにおける対人地雷除去活動への支援のため、99(平成11)年から06(同18)年12月までの間、退職自衛官を国際協力機構(JICA)に推薦し、この退職自衛官はJICAの長期派遣専門家の枠組で、カンボジア地雷対策センター(CMAC:Cambodia Mine Action Center)の整備・輸送アドバイザーとして派遣されていた。
 
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