第I部 わが国を取り巻く安全保障環境
5 地域内の協力

15(同27)年までの共同体設立を目指すASEAN各国は、地域の多国間安全保障の枠組としてもASEANの活用を図っている。安全保障問題に関する対話の場であるASEAN地域フォーラム(ARF:ASEAN Regional Forum)やASEAN国防相会議(ADMM:ASEAN Defence Ministers' Meeting)などを開催しているほか、11(同23)年7月には、ASEAN初の軍事演習であるASEAN軍事人道支援・災害救助机上演習(AHR:ASEAN Militaries' Humanitarian Assistance and Disaster Relief Table-Top Exercise)を行うなど、地域の安全保障環境の向上や信頼醸成に努めている。
ASEANは域外国との関係拡大も重視しており、10(同22)年、ADMMにわが国を含む域外国8か国を加えた拡大ASEAN国防相会議(ADMMプラス)が発足したほか、11(同23)年11月には、ASEANおよび域外国6か国から成る東アジア首脳会議(EAS:East Asia Summit)に、新たに米国およびロシアが正式に参加した。
東南アジア地域においては、テロや海賊のような国境を越える問題など安全保障上の幅広い問題へ対応するため、ASEAN以外の枠組においても多国間の協力が進展している。海賊対策としては、インドネシア、マレーシア、シンガポールおよびタイによる「マラッカ海峡パトロール(Malacca Strait Patrols)」が行われているほか、「アジア海賊対策地域協力協定(ReCAAP:Regional Cooperation Agreement on Combating Piracy and Armed Robbery against Ships in Asia)1」に基づき、海賊に関する情報共有および協力体制の構築を進めている。


1)12(平成24)年10月現在、同協定の締約国は、バングラデシュ、ブルネイ、カンボジア、中国、デンマーク、インド、日本、韓国、ラオス、ミャンマー、オランダ、ノルウェー、フィリピン、シンガポール、スリランカ、タイ、英国、ベトナムの18か国である。
 
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