第III部 わが国の防衛に関する諸施策
8 東日本大震災における協力

11(平成23)年3月11日に発生した東日本大震災における日米間の協力は、これまで培ってきた絆が証明されたといえる。
被災地を中心に大規模な支援を行った米軍の「トモダチ作戦」による自衛隊との共同対処の成功は、長年にわたる日米共同訓練などの成果であり、今後の更なる同盟の深化に繋がるものとなった。
米軍は、東日本大震災を受けた人道支援・災害救援活動を「トモダチ作戦」と命名し、最大時で人員約1万6,000名、艦船約15隻、航空機約140機を投入するなど大規模な兵力で、捜索救助、物資輸送、仙台空港の復旧、新学期を前にした学校の清掃、気仙沼大島における瓦礫除去作業、さらには日米共同での行方不明者の集中捜索など、被災地を中心に大規模な支援活動を行った。
(図表III―2―1―11参照)

図表III―2―1―11 米軍の活動概要
陸自隊員と共同して、新学期を前に学校のヘドロを除去する米軍兵士 (宮城県石巻市11(平成23)年4月)
陸自隊員と共同して、新学期を前に学校のヘドロを除去する米軍兵士
(宮城県石巻市11(平成23)年4月)
ハイタッチ。最新の世論調査(12(平成24)年1月)では、79.2%の 人が「トモダチ作戦」は、「成果をあげたという印象を持っている。」 と回答した。(資料79参照)(宮城県石巻市11(平成23)年4月)
ハイタッチ。最新の世論調査(12(平成24)年1月)では、79.2%の人が「トモダチ作戦」は、「成果をあげたという印象を持っている。」と回答した。(資料79参照)(宮城県石巻市11(平成23)年4月)

米軍の支援活動は、かつてない規模で行われ、これが、わが国の復旧・復興に大きく貢献するとともに、今回の対応をとおして得られた教訓も日米同盟をさらに深化させていく上で大きなものであった。
今回の日米共同対処が成功した大きな要因は、平素からの日米協力、迅速かつ綿密な日米調整の実施、在日米軍の存在などがある。加えて、平素からの政策協議や共同訓練のみならず、米軍が日本に駐留することにより日本の地理や文化などに精通していたからでもある。
一方、これからの課題も明らかとなった。国内災害における日米の役割・任務・能力の明確化、防災訓練への米軍の一層の参加を通じた共同要領の具体化、情報共有と効果的な調整のためのメカニズムのあり方など、更なる日米同盟の深化につなげていくための検討が必要である。
これらを踏まえ、自衛隊と米軍が、将来における多様な事態に対応するため、相互に支援できるよう、より良い備えをしておくことは、重要であり、現在、教訓を踏まえた具体的な検討を進めているところである。

 
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