コラム 

<解説>将来戦闘機研究開発ビジョン−わが国が目指す国産戦闘機とは−

戦闘機のような高度かつ特殊な技術が集積した装備品の開発は一朝一夕に行えるものではなく、中長期的視点に立った戦略的検討を実施することが求められる。このため防衛省では、F-2戦闘機後継の取得を検討する所要の時期に国産開発を選択肢として考慮できるよう、戦闘機にかかる技術動向やこれにともなう戦闘様相の変化、わが国周辺の戦略環境などを踏まえ、将来戦闘機のコンセプトとそれを実現するために必要な研究事項について整理し、10(平成22)年8月、「将来の戦闘機に関する研究開発ビジョン」(将来戦闘機ビジョン)として公表した。
将来戦闘機ビジョンの検討に当たり、わが国周辺においては、わが国が保有するF-15やF-2と同等の能力を有する第4世代戦闘機が着実に増加するとともに、ステルス性および高運動性、高度なアビオニクスなどを備えた第5世代戦闘機の開発、配備が進むという状況を将来の戦略環境とした。さらに、このような戦略環境に適切に対応するためにわが国が保有すべき戦闘機として、第5世代よりも進んだ世代の戦闘機を念頭に、わが国の優れた情報処理技術、素材技術、半導体技術などを駆使し、「情報優越」、「知能化」及び「瞬間撃破力」をキーワードとする新たな戦い方を可能とする、カウンター・ステルス能力の高い戦闘機を将来戦闘機のコンセプトとして示した。
今後は、将来戦闘機ビジョンを踏まえ、官民それぞれが有する情報や知見を持ち寄って意見交換を行うことを目的として同年10月に設置した将来戦闘機官民合同研究会も活用し、戦闘機の研究開発に対する戦略的投資、さらには効率的かつ効果的な調達の実現にもつなげていきたいと考えている。
 
将来戦闘機研究開発ビジョン図表

 

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