第III部 わが国の防衛に関する諸施策 

4 海上交通の安全確保のための作戦

 わが国は、資源や食料の多くを海外に依存しており、海上交通路はわが国の生命線である。また、わが国に対する武力攻撃事態があった場合において、海上交通路は、わが国生存と繁栄の基盤を確保するだけでなく、継戦能力を維持するための基盤やわが国防衛のため米軍が来援する際の基盤となる。このため、海上交通の安全確保のための作戦は重要である。
 海上交通の安全確保のための作戦は、わが国の周辺数百海里の海域において行う場合と航路帯1を設ける場合がある。
 わが国の周辺数百海里の海域において行う場合には対水上戦、対潜戦、対空戦、対機雷戦などの各種の作戦を組み合わせて、哨戒、船舶の護衛、海峡・港湾の防備などを行い、海上交通の安全を確保する。
 航路帯を設けて作戦を行う場合には、おおむね1,000海里程度の海域において航路を設定し、設定した航路を継続的に哨戒し、敵の水上艦艇、潜水艦などによる妨害を早期に発見してこれに対処するほか、状況により、わが国の船舶などを直接護衛する。
 海上交通路でのわが国の船舶などに対する防空は、護衛艦が行い(対空戦)、状況により、戦闘機などの支援を受ける。
 
対潜ロケットを発射する護衛艦「ゆうべつ」


 
1)船舶を通航させるために設けられる比較的安全な海域。航路帯の海域、幅などは脅威の様相に応じて変化する。


 

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