第III部 わが国の防衛に関する諸施策 

4 北朝鮮によるミサイル発射事案等への対応

 09(同21)年3月12日、国際海事機関(IMO:International Maritime Organization)から、北朝鮮当局から試験通信衛星打ち上げのための事前通報があった旨の連絡が入った。
 政府は、北朝鮮の行動が国連安保理決議第1695号および第1718号に違反することなどから、北朝鮮当局に対し発射の中止を求める旨表明するとともに、同年3月27日の安全保障会議において北朝鮮からのミサイル発射への対応方針を確認した。
 また、防衛大臣は、自衛隊法第82条の2(当時。現在は第82条の3)第3項に基づく「弾道ミサイル等に対する破壊措置命令」を発出した。自衛隊は、BMD統合任務部隊を編成し、スタンダード・ミサイルSM-3搭載イージス護衛艦2隻(「こんごう」および「ちょうかい」)を日本海中部へ、ペトリオットPAC-3部隊を東北地方(岩手県および秋田県)や首都圏(埼玉県、千葉県および東京都)に所在する自衛隊の駐屯地などに展開させ、わが国領域への落下に対する備えを行った。
 同年4月5日午前11時30分、北朝鮮から東の方向にミサイル1発が発射され、同11時37分頃には東北地方から太平洋に通過したものと推定された。
 このミサイル発射に対して、防衛省・自衛隊は、早期警戒情報(SEW:Shared Early Warning)や自衛隊の各種レーダーにより得た情報を官邸などへ迅速に伝達11した。また、航空機により、東北地方の被害の有無を確認するための情報収集を実施した。
 同年4月6日、防衛大臣は、「弾道ミサイル等に対する破壊措置」の終結に関する命令を発出し、部隊を撤収させた。同年5月15日、北朝鮮が発射したミサイルに関して行った総合的・専門的分析の内容を公表12した。
 
発射試験におけるPAC-3発射直後の状況


 
11)実際の発射の前日には、防衛省・自衛隊の情報伝達の不手際により、発射に関する誤報事案が生起した。実際の発射に際しては、早期警戒情報の有無を統合幕僚長を含めた複数の者で確認するなどして、情報収集や伝達を適切に行った。
http://www.mod.go.jp/j/j/approach/defense/bmd/20090515-1.html>参照。

 
12)北朝鮮によるミサイル発射について<http://www.mod.go.jp/j/j/approach/defense/bmd/20090515.html>参照。


 

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