平成21年版白書 刊行に寄せて 

平成21年版白書 刊行に寄せて
 
防衛大臣写真
 
防衛大臣
防衛大臣揮毫

 防衛省は、わが国の防衛政策や過去1年間の防衛省・自衛隊にかかわる主要な事象について、より多くの国民の皆様にご理解をいただくため、毎年防衛白書を刊行しています。これは、わが国の防衛政策の透明性の証でもあり、わが国に対する諸外国からの理解と信頼を高める上でも大きな意義があります。

 本年の白書の対象期間においては、ソマリア沖・アデン湾における海賊対策が国際的な課題として注目され、諸外国が海軍艦艇を派遣する中、わが国も護衛艦や哨戒機P−3Cなどを派遣して、日本関係船舶の護衛を実施しています。
 また、本年4月には、わが国を含む国際社会の反対にもかかわらず、北朝鮮が弾道ミサイルを発射し、さらに5月には核実験を強行するなど、わが国の安全保障環境は依然として厳しいものがありますが、その中で自衛隊は、着実にその高い練度や精強性を活かして重要な役割を担っております。

 本年の白書においては、はじめに防衛省の国際情勢全体の認識を示し、わが国の安全保障に影響を与え得る国々の国防政策、わが国周辺の情勢などについて記述しています。
 次に、宇宙基本法の成立を受けて防衛省が取り組んでいる宇宙開発利用のための施策やソマリア沖・アデン湾における自衛隊による海賊対処を含む防衛省の海洋政策への取組について、新たに記述しています。
 また、本年4月の北朝鮮によるミサイル発射への自衛隊の対応について説明するとともに、イラクやインド洋における国際平和協力活動の教訓・反省事項、エジプトにあるPKOセンターへ自衛官を講師として派遣したことなど、国際平和協力活動への主体的・積極的な取組も紹介しています。

 ますます活動のフィールドが広がる中で、自衛隊は進化し続けていますが、今後とも国民の信頼を得て活動することが重要と考えております。近年、防衛省・自衛隊に対する国民の信頼を大きく損なう一連の事案が発生したことを受けて、一昨年官邸に防衛省改革会議が設置されたところであり、本年の白書では、その報告書に基づいて防衛省が進めている防衛省改革の実施状況や今後の組織改革の方向性などについて、部を設けて具体的に説明しております。

 本年の白書では、自衛隊の国内外での活動などについて国民の皆様と諸外国の方々に御理解をいただくようわかりやすく記述しました。また、日々の職務にあたっている隊員の生の声や、わが国の安全保障を考える上で重要な事項をコラムで取り上げることなどにより、防衛省・自衛隊のありのままの姿をお伝えするとともに国民の皆様が防衛問題を考える際の材料を提供できるよう努力しました。

 国の防衛は、国民の御理解と御協力があって初めて全うされるものです。この防衛白書が、一人でも多くの国民に読まれ、防衛に対する御理解を深めていただく一助となることを切に希望しております。

 

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