第II部 わが国の防衛政策の基本と防衛力整備 

(VOICE)宇宙開発戦略本部事務局に出向し活躍する隊員の声

内閣官房宇宙開発戦略本部事務局 2等空佐 大谷 康雄(おおたに やすお)

 皆さんは、宇宙開発戦略本部事務局という組織をご存じでしょうか。
 平成20年5月に宇宙基本法が成立し、同年8月27日の施行に合わせて内閣に宇宙開発戦略本部が新編されたことにともない、宇宙開発戦略本部事務局が内閣官房に設置されました。この事務局には、関係府省などから非常勤含めて21名が出向しており、防衛省からは2名が出向しています。宇宙関連の職務は、防衛大学校で宇宙工学を専攻して以来の希望でもあり、非常に幸運でした。
 この宇宙開発戦略本部事務局で、私は、宇宙基本計画(案)の作成と意見取りまとめを担当しています。この宇宙基本計画は、1)宇宙を活用した安心・安全で豊かな社会の実現、2)宇宙を活用した安全保障の強化、3)宇宙外交の推進、4)先端的な研究開発の推進による活力ある未来の創造、5)21世紀の戦略的産業の育成、6)環境への配慮、という6つの方向性を示し、本年6月に宇宙開発戦略本部が作成し、その後公表される予定です(この白書が刊行される頃には、この計画は決定されていることと思います)。
 さて、我が国の宇宙開発利用の重要性が増大する中で、宇宙戦略の司令塔というべき宇宙開発戦略本部の事務局に勤務し、安全保障をはじめ外交、産業育成といった幅広い分野で宇宙戦略の作成に、自衛官として携わることによって、非常に得難い経験をしています。また、宇宙基本計画の作成にあたっては、幅広い分野の有識者で構成される宇宙開発戦略専門調査会を設置しご意見をいただきましたが、多くの方から防衛分野の宇宙利活用を今後積極的に行うべきとご意見をいただき、国家防衛の任を有する自衛官の一人として身が引き締まる思いでした。
 防衛省・自衛隊は、今後、宇宙基本法の理念の下で、陸・海・空に次ぐ第四の空間としての宇宙の開発利用に積極的に取り組んでいくこととなると思います。
 航空自衛官が、宇宙飛行士の候補として選ばれる時代です。私も、宇宙政策に携わる一人として、宇宙開発利用の施策が着実に進展されるように最善の努力を尽くすとともに、今後の宇宙を含めた自衛隊の活動に貢献していきたいと思います。
 
宇宙開発戦略本部事務局で勤務する大谷2佐(左)

 

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