第III部 わが国の防衛のための諸施策 

1 さまざまな広報活動

 インド洋における補給支援活動をはじめ国際平和協力活動や災害派遣など、国内外での自衛隊の活動の場の広がりに伴い、国民の自衛隊や防衛問題に対して高い関心がよせられている。
 防衛省・自衛隊は、平素から防衛政策や自衛隊の活動を積極的に広報する必要があるとの認識のもと、さまざまな広報活動を通して、変化する国民の意識やニーズ、海外における防衛省・自衛隊への関心の高まりを踏まえつつ、自衛隊の実態がより理解されるよう努めている。

参照 資料74

(1)ホームページ、パンフレットなど
 防衛省・自衛隊は、インターネットによる情報提供・意見聴取、広報ビデオの配信、各自衛隊の広報コマーシャル・フィルムの放映を行うなど、各種メディアを活用した広報に取り組んでいる。
 また、防衛省の政策や自衛隊の活動などを説明したさまざまなパンフレットの作成や配布、報道機関への取材協力、広報誌「MAMOR(マモル)」への編集協力など、自衛隊や防衛に関する正確な情報を、より広く一般の国民へ提供するよう努めている。さらに、自衛隊の海外における活動の活発化に伴い、海外からの防衛省・自衛隊への関心が高まっており、英語版パンフレット(Japan Defense Focus)を年4回発行するほか、定例記者会見への海外メディアの参加推進、防衛省ホームページの英文サイトの充実、英語版防衛白書、各種政策パンフレット・広報ビデオの英語版を作成するなど、海外に向けて情報を発信するための取組も行っている。なお、広報経費については、積極的、効果的かつ効率的な使用に努めている。
 このような取組のなか、特に国民的関心の高いインド洋における海自の補給支援活動などの施策については、防衛省ホームページや広報誌による特集、民間動画サイトへの動画配信チャンネルの開設、ビデオ、パンフレット、地方防衛局主催による防衛問題セミナーの開催などにより重点的な広報を展開している。また、海自によるソマリア沖・アデン湾における海賊対処についても、防衛省ホームページに特集ページを設けるなど国民への情報発信に努めている。

(2)イベント・広報施設など
 防衛省・自衛隊は、自衛隊の現状を広く国民に紹介する活動を行っている3。この活動には、毎年富士山麓で行われる陸自の富士総合火力演習や、各地での海自の艦艇による体験航海、空自の基地航空祭での航空機の展示飛行や体験搭乗などがある。また、全国に所在する駐屯地や基地では、部隊の創立記念日などに、装備品の展示や部隊見学、音楽隊によるコンサートなどを行うとともに、地元の協力を得て、市中での徒歩、車両によるパレードを行っている例もある。さらに、自衛隊記念日記念行事として、自衛隊音楽まつりや観閲式、観艦式、航空観閲式などを行っている。
 昨年の自衛隊音楽まつりは、日本武道館で開催し、のべ約3万7,000人が来場した。また、陸上・海上・航空自衛隊が交互に主担当となって、観閲式、観艦式、航空観閲式を行い、自衛隊の装備や訓練の成果を国民に紹介している。昨年は、燃料価格の高騰にともない、空自が参加航空機の規模を縮小しつつ、実施要領を工夫して航空観閲式を行い、事前公開を含め約1万4,300人が来場した。なお、本年は、海自による観艦式を計画している。
 このほか広報施設見学にも積極的に取り組んでいる。例えば、防衛省は、市ヶ谷地区内の施設を誰でも見学できるよう、平日の午前・午後の1日2回、ツアー形式により公開しており、00(平成12)年6月のツアー開始以降、これまで23万人以上の見学者が訪れている。また、各自衛隊は、無料で見学できる広報施設を設けているほか、全国の駐屯地や基地の広報館や史料館の施設も公開している。

参照 巻末資料

(3)隊内生活体験
 防衛省・自衛隊は、自衛隊生活体験ツアー4や、民間企業などからの依頼を受け、体験入隊5を行っている。これは、自衛隊の駐屯地や基地に2〜3日間宿泊するなど、隊員と同様の日課で自衛隊の生活や訓練を体験するとともに、隊員とじかに接することにより、自衛隊に対する理解を一層深めるものである。昨年度は、大学生や女性を対象とした自衛隊生活体験ツアーを4件実施し、約130人が参加、生活体験を約1,300件実施し、約14,200人が体験入隊した。
 
部隊における生活体験


 
3)イベントなどの細部については、防衛省ホームページ<http://www.mod.go.jp/j/events/index.html>参照

 
4)「大学生等を対象としたサマーツアー・スプリングツアー」、「パセリちゃんツアー」、「女性のための自衛隊1日見学」の公募を防衛省・自衛隊ホームページで行っている。

 
5)陸・海・空自の生活を体験するなどのツアー(ツアー情報は、前述のイベント情報アドレスを参照)


 

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