第III部 わが国の防衛のための諸施策 

5 隊員の退職・再就職など

1 隊員の退職と再就職のための取組

 自衛隊は、精強さを保つため、先に説明した若年定年制および任期制という制度を採用している。このため多くの自衛官は、一般の国家公務員と異なり、50歳代半ば(若年定年制自衛官)および20歳代(大半の任期制自衛官)で退職することとなっている。
 このため、自衛官の将来への不安を解消し、在職中に安んじて職務に精励できるようにするとともに、その士気を高め、優れた資質を有する人材を確保するためにも、退職後の生活基盤の安定確保が重要である。
 こうしたことから防衛省は、退職予定自衛官の再就職に関する施策を、人事施策における最重要事項の一つとしてとらえ、再就職に有効な職業訓練や雇用情報の有効活用などの就職援護施策を行っている1
 就職援護に際しては、地域の援護協力組織などの協力を得る一方、防衛省には独自に職業紹介を行う権限がないため、厚生労働大臣と国土交通大臣の許可を得た財団法人自衛隊援護協会が、退職自衛官に対する無料職業紹介事業などを行っている。今後も厳しい雇用情勢が続くことが予想される中、一層安定した雇用を確保するためには、地方公共団体などの協力がますます必要な状況となっている。
 再就職した退職自衛官は、製造業やサービス業など幅広い分野で活躍しており、また、地方公共団体において、防災などの危機管理の分野でも採用されている。退職自衛官は、全般的に責任感、勤勉さ、体力・気力、規律などの面で優れていること、特に、定年退職自衛官は長年の勤務でつちかわれた高い指導力を有することなどから、雇用主に高く評価されている。
(図表III-4-1-5 参照)
 
図表III-4-1-5 就職援護のための主な施策


 
1)具体的には、再就職に有効な知識や技能を身につけるための教育や訓練、退職自衛官の公的部門への採用の推進、各自衛隊などが有する雇用情報のネットワーク化、職業訓練課目の充実による再就職希望者の能力の向上など
各自衛隊の就職援護については、陸上自衛隊<http://www.mod.go.jp/gsdf/retire/>、海上自衛隊<http://www.mod.go.jp/msdf/formal/engo/engotop.html>、航空自衛隊<http://www.mod.go.jp/asdf/engo/index.html>参照


 

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