第III部 わが国の防衛のための諸施策 

2 化学兵器・生物兵器

(1)関連する条約など
 化学兵器・生物兵器の軍備管理・軍縮・不拡散のための条約や輸出管理体制は資料56のようになっている。

(2)わが国の取組など
ア 防衛省・自衛隊は、80(昭和55)年以降、化学兵器禁止条約(CWC:Chemical Weapons Convention)の交渉の場に、陸自から化学防護の専門家を随時派遣し、日本代表団の一員として条約案の作成に協力してきた。また、条約の発効にともない、条約の定める検証措置などを行うため、オランダのハーグに設立された化学兵器禁止機関(OPCW:Organization for the Prohibition of Chemical Weapons)に、97(平成9)年以降、化学防護の専門家を派遣しており、現在は、陸上自衛官1名を派遣しているほか、退職した陸上自衛官1名が勤務している。

参照 資料57

 なお、陸上自衛隊化学学校(さいたま市)では、条約の規制対象である化学物質を防護研究のために少量合成していることから、条約の規定に従い、同機関設立当初から計6回の査察を受入れている。
 また、中国遺棄化学兵器廃棄処理事業については、CWCに基づいて、政府全体として取り組んでいる。これまでの調査の結果、中国吉林省敦化(とんか)市ハルバ嶺(れい)には、現在でも約30〜40万発にのぼる旧日本軍の化学兵器が埋設されているものと推定されている。防衛省・自衛隊は、CWCに基づく遺棄化学兵器処理を担当する内閣府に陸上自衛官を含む職員5名を出向させているほか、00(同12)年以降、計8回の発掘・回収事業に、化学、弾薬を専門とする陸上自衛官を内閣府に出向の上、現地に派遣しており、昨年は、8月から9月にかけて、内閣府が行う中国吉林省敦化(とんか)市蓮花泡(れんかほう)での発掘・回収事業に自衛官7名が参加し、砲弾の識別、応急的安全化処置などを行った。

イ 生物兵器禁止条約(BWC:Biological Weapons Convention)に対しては、関連会合に薬学や医学の専門家である医官、教官などを派遣し、BWC強化のための取組に対して協力を行っている。

ウ オーストラリア・グループ(AG:Australia Group)に対しては、94(同6)年から毎年AGの会合に職員を派遣し、このグループの規制や取り決めが実効性あるものとなるように協力している。

 

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