第III部 わが国の防衛のための諸施策 

2 日米防衛相会談

 06(平成18)年以降の日米政策協議(閣僚級)の実績は、図表III-2-3-2のとおりである。
 
図表III-2-3-2 日米協議(閣僚級)の実績(2006年以降)

 本年5月1日には、米国ワシントンにおいて、浜田防衛大臣とゲイツ国防長官の間で防衛相会談が行われた。その概要は、次のとおりである。

(1)北朝鮮
 米側より、本年4月の北朝鮮によるミサイル発射事案への対応では、日米両国が、発射前の連携や国連での対応などで協調することができたこと、また、軍事面での協力は今後とも重要である旨の発言があり、日本側より、日米は北朝鮮への対応をはじめ多くの課題を有しており、それぞれの課題の対応を円滑に行っていくために、統一的な視点からハイレベルでの協議を行っていく必要がある旨述べた。

(2)日米同盟総論
 日本側より、日米同盟の強化は麻生内閣総理大臣の指示でもあり、今回のような閣僚レベルでの会談は、同盟の強化に貢献するものである旨述べた。米側より、日米の防衛面での関係は健全であり、昨年のジョージ・ワシントンの横須賀入港はこれを象徴するものであること、また、わが国に対する拡大抑止1および日米安保条約上のコミットメントについて改めて確認するとの発言があった。

(3)米軍再編
 米側より、「在沖縄海兵隊のグアム移転に係る協定」が衆議院で可決されたことを歓迎するとの発言があり、日本側より、沖縄の問題はセンシティブであり、引き続き努力が必要であること、また、今後、米軍再編関連の予算を確保し、しっかりと再編を進めていきたい旨発言した。

(4)QDRおよび防衛大綱
 米側より、「4年毎の国防計画の見直し」(QDR:Quadrennial Defense Review)の策定過程において、日米間で行われている対話を継続していきたいとの発言があり、日本側より、今後、日米同盟のあり方について、閣僚レベルなどで議論し、個別分野における議論が円滑に進むようにしたい旨述べた。
 なお、会談後に米側からQDRについて、日本側から防衛大綱について、それぞれの検討状況に関するブリーフィングと意見交換を行った。

(5)アフガニスタン・パキスタン支援および海賊対処
 米側より、わが国のリーダーシップを歓迎するとして、1)アフガニスタンにおける警察支援(警察官の給与6か月分の負担)および幹線道路(リングロード)整備の支援、2)本年4月のパキスタン・フレンズ閣僚会合の日本での開催と10億ドルの支援表明、3)アデン湾への護衛艦2隻の派遣について言及があり、日本側より、アフガニスタンおよびパキスタンの支援について、わが国としてもできることをやっていきたいが、自衛隊の派遣については制約があること、米国が、わが国によるアフガニスタンへの貢献について、外務省と防衛省の取組を両輪として理解していることは心強い旨発言した。
 また、日本側より、本年5月末を目途にソマリア沖にP-3Cを派遣するべく努力している旨述べ、米側より、これを歓迎するとの発言があった。

(6)次期戦闘機(F-X)
 米側より、米国議会の状況について説明があり、日本側より、わが国の防衛のためには、しっかりとした防空能力を持つ航空機を導入する必要がある旨述べた。
 
ゲイツ米国防長官との会談に臨む浜田防衛大臣(本年5月)


 
1)拡大抑止とは、ある国の有する抑止力、すなわち「侵略を行えば耐え難い損害を被ることを明白に認識させることにより、侵略を思いとどまらせるという機能を果たすもの」が、他国の防衛及び安全保障に対しても提供されることをいう。


 

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