第III部 わが国の防衛のための諸施策 

第3節 本格的な侵略事態への備え

 自衛隊の主たる任務は、わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略および間接侵略に対し、わが国を防衛することである。
 わが国周辺地域には、現在もなお、不透明・不確実な要素が残されており、万一の本格的な侵略事態が起こった場合の国民の生命・財産の損失の大きさを考えると、そのための備えは必要不可欠である。
 自衛隊は、平素から即応態勢・継戦能力の維持向上や所要の装備の整備、周辺海空域の警戒監視などに地道に取り組み、本格的な侵略事態に備えている。また、これらの取組を通じ、自衛隊の精強さを示すことにより、侵略事態などがわが国に直接及ぶことへの未然防止にも寄与している。
 わが国に対する本格的な侵略が行われた場合、統合運用体制により、自衛隊は有機的かつ一体的に行動し、迅速かつ効果的に対応する。本格的な侵略に対して行う作戦はその機能により、1)防空のための作戦、2)周辺海域の防衛のための作戦、3)陸上の防衛のための作戦、4)海上交通の安全確保のための作戦などに区分される。なお、これらの作戦の遂行に際し、米軍は、「日米防衛協力のための指針」にあるとおり、自衛隊が行う作戦を支援するとともに、打撃力の使用をともなうような作戦を含め、自衛隊の能力を補完するための作戦を行う。
 本節では、本格的な侵略が行われた場合、わが国を防衛するため、自衛隊が行うと考えられる典型的な作戦の概要について説明する。

参照 2章3節2

 

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