第II部 わが国の防衛政策の基本と防衛力整備
第1章 わが国の防衛の基本的考え方
平和と安全、独立は、願望するだけでは確保できない。自らの防衛力とともに、外交努力、同盟国との協力などさまざまな施策を総合的に講じることで初めて確保できるものである。
わが国は、憲法の下、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国にならないとの基本的理念に従い、日米安全保障体制を堅持するとともに、文民統制を確保し、非核三原則を守りつつ、節度ある防衛力を自主的に整備している。
防衛省は、防衛政策の基本などを守り続ける一方、安全保障環境の変化に対応して、自らそのあり方や役割を常に適切なものとしていく努力が必要である。
昨年1月に行われた防衛省への移行および国際平和協力活動などの本来任務化などは、こうした取組の一環と位置づけられるものである。これらを通じて、防衛省は、より危機に強く、世界の平和に貢献できる組織になることを目指している。
また、近年、国際平和協力活動のための一般的な法律の整備をめぐる議論がさまざまな場で活発に行われており、防衛省としては、本件は、与党における議論をはじめ国民的な議論の深まりを十分に踏まえて検討していく課題と認識している。
第2章 防衛大綱と防衛力整備
04(平成16)年12月に策定された「平成17年度以降に係る防衛計画の大綱」(防衛大綱)は、わが国に脅威が及ぶことを防止・排除することと、国際的な安全保障環境を改善してわが国に脅威が及ばないようにすることの2つをわが国の安全保障の目標とし、これらの目標達成のために、わが国自身の努力、同盟国との協力および国際社会との協力の3つを統合的に組み合わせるとしている。
加えて、この防衛大綱に定める新たな防衛力を実現するために中期防衛力整備計画(平成17年度〜平成21年度)を策定し、これに従い防衛力整備を進めている。
平成20年度においては、わが国周辺の安全保障環境を踏まえた防衛力の近代化、政策立案機能や情報保全機能を強化するための組織の構築、国際社会の平和と安定のための取組などの防衛力整備を効率性と優先度を踏まえ推進する。