第III部 わが国の防衛のための諸施策 

1 日韓防衛交流


 韓国は、地政学的な観点からわが国の安全保障にとって重要な国であるとともに、自由や民主主義といった、わが国と基本的な価値を共有できる友好国である。また、米国と同盟関係にあり、安全保障上の観点からわが国と同様に、米軍を駐留させている。そのため、韓国との防衛交流を積極的に進めることにより、相互理解や信頼関係を増進させ、また、協力の基盤をつくり、両国が東アジア全体の平和と安定に向けて、政策面においてより効果的に協調、協力していくことが極めて重要である。

(1)防衛首脳クラスなどのハイレベルの交流
 94(平成6)年以降、両国防衛首脳が、ほぼ毎年(01、04、06(同13、16、18)年を除く。)交互に訪問し、会談が開かれている。
 昨年2月、金章洙(キム・ジャンス)国防部長官(当時)が来日し、久間防衛大臣(当時)と、北東アジア情勢、両国の防衛政策などについて意見交換を行った。また、英国の国際戦略研究所(IISS:the International Institute for Strategic Studies)が主催する本年5月の第7回アジア安全保障会議(通称:シャングリラ・ダイアログ)1の際にも、李相憙(イ・サンヒ)国防部長官が石破前防衛大臣と会談を行い、日韓防衛交流について意見交換を行った。
 さらに昨年3月には齋藤統幕長が訪韓し金寛鎮(キム・グァンジン)韓国合同参謀議長(当時)と、同年6月には宋永武(ソン・ヨンム)韓国海軍参謀総長(当時)が訪日し吉川海幕長(当時)と、本年1月には朴興烈(パク・フンニュル)韓国陸軍参謀総長(当時)が訪日し折木陸幕長と、同年4月には金銀基(キム・ウンギ)韓国空軍参謀総長が訪日し田母神空幕長と、同じく同年4月には金泰榮(キム・テヨン)韓国合同参謀議長が訪日し齋藤統幕長とそれぞれ率直な意見交換を行った。
 
朴韓国陸軍参謀総長と折木陸上幕僚長

(2)防衛当局者間の定期協議など
 94(同6)年以降、毎年、局長・審議官級の防衛実務者対話を行っているほか、98(同10)年以降は、外交当局を含めた安全保障対話を行っている。
 昨年7月には、第15回日韓防衛実務者対話を開催し、両国の防衛政策や日韓防衛交流について意見交換を行ったほか、昨年12月には、課長級の日韓防衛実務者対話作業部会を初めて開催した。
 また、昨年10月には、第7回日韓安全保障対話を開催し、両国を取り巻く安全保障環境や安全保障政策などの意見交換を行った。
 このほか、統幕と韓国合同参謀本部、陸上・海上・航空自衛隊(陸・海・空自)と韓国陸・海・空軍間でも活発な対話などを行うとともに、留学生の派遣・受入れや研究交流も盛んに行っている。

(3)部隊間の交流など
 陸自と韓国陸軍は、01(同13)年以来、西部方面隊と韓国陸軍第2軍2との間で部隊指揮官が相互に訪問するなどの交流を行っている。昨年6月には、韓国陸軍第2軍司令官が訪日し、同年10月には西部方面総監が訪韓した。
 海自と韓国海軍は、94(同6)年以来、艦艇が相互に訪問するなどの交流を行っている。昨年9月には海自練習艦隊が訪韓し、同年12月には韓国海軍巡航訓練艦隊が訪日したほか、昨年6月には5回目となる捜索・救難共同訓練が行われた。
 空自と韓国空軍は、00(同12)年以来、航空機の相互訪問による交流を行っている。昨年6月には、西部航空方面隊司令官が初めて訪韓するとともに、本年5月には韓国南部戦闘司令官が訪日した。
 韓国との間の音楽隊の交流については、昨年11月の自衛隊音楽まつりに韓国空軍軍楽隊が参加した。


 
1)アジア太平洋地域の国防大臣クラスを集めて防衛問題や地域の防衛協力についての議論を行うことを目的として開催される多国間会議であり、民間研究機関である英国の国際戦略研究所の主催により始まった。
http://www.mod.go.jp/j/defense/dialogue/iiss.html>参照

 
2)第2軍は昨年11月1日に第2作戦司令部に改編された。


 

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