第III部 わが国の防衛のための諸施策 

2 武装工作員などへの対処


(1)基本的な考え方
 武装工作員などによる不法行為には、警察機関が第一義的に対処するが、自衛隊は、生起した事案の様相に応じ、基本的に図表III-1-2-9のように対応する。
 
図表III-1-2-9 武装工作員などへの対処の基本的な考え方

(2)武装工作員などへの対処のための自衛隊法の改正
 武装工作員などへの対処を迅速かつ効果的に行うため、01(平成13)年、自衛隊法を改正し、1)治安出動下令前に行う情報収集およびその場合の武器の使用の規定を新設し、2)治安出動時の武器の使用の規定を改正した。

参照> 資料2829

(3)警察との連携強化のための措置
ア 連携強化のための枠組みの整備
 武装工作員などへの対処にあたっては、警察機関との連携が重要である。このため、00(同12)年、治安出動の際における自衛隊と警察との連携要領についての基本協定(54(昭和29)年に締結)を改正し、暴動鎮圧を前提とした従来の協定を、武装工作員などによる不法行為にも対処できるようにした2ほか、02(平成14)年に、陸自の師団などと全都道府県警察との間で、治安出動に関する現地協定を締結した。
 さらに、04(同16)年、治安出動の際における武装工作員等事案への共同対処のための指針を警察庁と共同で作成した。

イ 警察との共同訓練
 武装工作員などへの対処に際し、現地レベルでの相互の連携を一層緊密なものとするため、05(同17)年7月までに、現地協定の締結主体である師団などと全都道府県警察との間で共同図上訓練を実施した。これらの共同図上訓練の成果に基づき、同年10月には、陸自北部方面隊と北海道警察との間で、初の共同実動訓練を実施し、これを皮切りに、昨年度は、第12旅団と群馬・栃木各県警察、第10師団と愛知・岐阜・三重各県警察、第14旅団と愛媛・高知各県警察、第1師団と静岡・神奈川・山梨各県警察、第13旅団と広島・島根・岡山・山口・鳥取各県警察、第4師団と長崎・佐賀・大分各県警察、第8師団と熊本・鹿児島・宮崎各県警察および第7師団と北海道警察、との間で共同実動訓練を行い、治安出動の際の連携要領について確認した。
 
警察と共同した緊急輸送訓練

参照> 資料70


 
2)正式名称は「治安出動の際における治安の維持に関する協定」であり、防衛庁(当時)と国家公安委員会との間で締結された。


 

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