2 武力攻撃事態等への対処
武力攻撃事態対処法
5は、武力攻撃事態等への対処についての、いわば基本法的な性格を有しており、武力攻撃事態等への対処に関する基本理念、武力攻撃事態等への対処に関する基本的な方針(対処基本方針)、国・地方公共団体の責務などについて規定している。これにより、関係機関(指定行政機関、地方公共団体および指定公共機関
6)が国民保護法などの個別の有事法制などに基づいて行う対処措置が相互に連携協力して行われ、武力攻撃事態等への対処について、国全体として万全の措置が講じられる枠組みを整えている。
(図表III-1-1-2 参照)
参照> 資料22
(2)対処措置
武力攻撃事態等への対処にあたり、対処基本方針が定められてから廃止されるまでの間に、指定行政機関、地方公共団体または指定公共機関が法律の規定に基づいて、次の措置を対処措置として実施する。
ア 武力攻撃事態等を終結させるためにその推移に応じて実施する措置
1) 自衛隊が実施する武力の行使、部隊などの展開その他の行動
2) 自衛隊の行動および米軍の行動が円滑かつ効果的に行われるために実施する物品、施設または役務の提供その他の措置
3) 1)および2)のほか、外交上の措置その他の措置
イ 国民の生命、身体および財産の保護または国民生活および国民経済への影響を最小とするための措置
1) 警報の発令、避難の指示、被災者の救助、施設および設備の応急の復旧その他の措置
2) 生活関連物資などの価格安定、配分その他の措置
内閣総理大臣は、対処措置を行う必要がなくなったと認めるときまたは国会が対処措置を終了すべきことを議決したときは、対処基本方針の廃止につき、閣議の決定を求めなければならない。
(3)国、地方公共団体などの責務
ア 国の責務
国は、対処措置の実施にあたり、基本理念にのっとって、組織および機能のすべてをあげて、武力攻撃事態等に対処するとともに、国全体として万全の措置を講じる。
イ 地方公共団体の責務
地方公共団体は、地域並びに住民の生命、身体および財産を保護する使命を有し、国および地方公共団体その他の機関と相互に協力し、必要な措置を実施する。
ウ 指定公共機関の責務
指定公共機関は、国および地方公共団体その他の機関と相互に協力し、その業務について、必要な措置を行う。
エ 国民の協力
国民は、国および国民の安全を確保することの重要性にかんがみ、これらの措置の実施に対して、必要な協力をするように努めるものとする。
(4)内閣総理大臣の対処措置における権限
対処措置の総合的な推進のため、対処基本方針が定められたときは、内閣に、内閣総理大臣を長とする武力攻撃事態等対策本部(対策本部)が設置される。対策副本部長および対策本部員は国務大臣をもって充てられる。
内閣総理大臣は、国民の生命、身体もしくは財産の保護または武力攻撃の排除に支障があり、特に必要があると認める場合であって、総合調整に基づく所要の対処措置が行われないときは、関係する地方公共団体の長などに対し、その対処措置を実施すべきことを指示することができる。
また、内閣総理大臣は、指示に基づく所要の対処措置が行われないときや、国民の生命、身体、財産の保護や武力攻撃の排除に支障があり、事態に照らし緊急を要する場合は、関係する地方公共団体の長などに通知した上で、内閣総理大臣自らまたはその対処措置にかかわる事務を所掌する大臣を指揮し、その地方公共団体または指定公共機関が行うべき対処措置を行い、または行わせることができる。
(5)国連安全保障理事会への報告
政府は、国連憲章第51条などにしたがって、武力攻撃の排除にあたってわが国が講じた措置について、直ちに国連安全保障理事会に報告する。