1 省移行の意義
1 省移行の意義
(1)防衛政策に関する企画立案体制の強化
近年、自衛隊の任務が拡大・多様化し、実際の活動も増加しているとともに、毎年のように防衛に関する重要法案が国会で成立してきている。
省移行により、「国の防衛」に専任する「主任の大臣」が置かれることになり、政策官庁にふさわしく、防衛大臣が責任と権限を持って多様な政策オプションを提示することが可能となった。これにより、政策の企画立案機能と実行力が強化されることとなった。
(2)さまざまな緊急事態への迅速・的確な対応
省移行により、次の点から、わが国の緊急事態対処体制が補強された。
ア 防衛大臣が「国の防衛」に専任する主任の大臣となることによる、わが国の防衛に関する責任の所在の明確化
イ 国家の危機管理に取り組むわが国の姿勢を内外に明確に提示
ウ 防衛大臣が主任の大臣として直接に次のような職務を行うことが可能となることによる、危機管理態勢の一層の充実・強化
1)安全保障や自衛隊に関する法令の制定・改正に当たっての閣議請議
1や省令の制定
2)予算の要求や執行を財務大臣に求めることや演習場などの行政財産の取得
3)海上警備行動など、国民の生命と財産を守る重要な活動について実施の決定を行うための閣議請議
4)防衛省・自衛隊の主要幹部の人事の承認のための閣議請議
なお、内閣の首長としての内閣総理大臣の権限は、引き続き内閣総理大臣が保有しており、変更はない。
(3)国際社会の平和と安定に主体的かつ積極的に取り組む体制の整備
防衛協議や国際的対話、海外で自衛隊が諸外国と協力して活動する場合などにおいて、諸外国の国防を担当する行政組織と対等な「省」という位置付けになった。また、防衛大臣が、諸外国の防衛首脳などと名実ともに同格の行政機関の長同士として協議を行うことにより、信頼醸成や協力関係がさらに深化することとなる。