第III部 わが国の防衛のための諸施策 

3 海上自衛隊護衛艦「しらね」における事案の発生と対応

 本年3月、海上自衛隊護衛艦「しらね」乗組員が秘密の疑いがある情報を自宅の私有外付けハードディスクに保有していた事案が明らかになった。
 この事案は、秘密の取扱いに係る法令違反の疑いがあるため、海上自衛隊警務隊と神奈川県警察が協力して、事案の全容解明に向けて捜査を実施するとともに、同年4月4日付で海上幕僚副長を長とする調査委員会を海上自衛隊に設置し、情報が持ち出された時期を含め、必要な調査を実施している。
 本事案の原因などについては、これらの捜査・調査によって今後明らかになるが、自衛隊が取り扱う情報の重要性や情報の電子化に伴う流出の危険性に対する認識が末端隊員まで十分浸透しているとはいえないこと、抜本的対策以前に持ち出された業務用データが依然として自宅の私有パソコン等に保有されている可能性があることなどが問題として挙げられる。
 防衛省においては、こうした事案の発生などを極めて深刻に受け止め、防衛大臣が先頭に立って情報流出の防止に取り組むため、同月24日、秘密電子計算機情報流出等再発防止に係る対策実施委員会を廃止し、新たに防衛大臣を議長とし、事務次官、官房長、全局長、陸・海・空幕長をはじめ防衛省内の全機関の長などを委員とする情報流出対策会議を設けたところである。
 第1回会議においては、上述した問題意識の下、各種の再発防止対策を現場隊員に徹底的に浸透させるため、内部部局などの幹部職員などからなる特別行動チームを地方に派遣することや、隊員一人ひとりの情報保全などに対する意識の改革を図るため、情報流出防止に係る隊員に対する個別面談方式による指導を実施するなどの対策を決定したところである。
 防衛省としては、同会議のもと、今後とも省を挙げて情報流出の再発防止に取り組んでいく。

 

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