7 技術研究開発の充実
1 技術研究本部での研究開発
防衛省では、厳しい財政事情を踏まえ、民間との切り分けや、わが国が得意とする分野の見極めなどを考慮し、研究事業の選択と集中を行うため、技術研究本部において、今後重点的に取り組むべき技術分野や各技術分野毎の取組の方向を明らかにした、中長期技術見積り
1を策定した。同見積りでは、従来の装備体系にとらわれることなく、将来の戦闘様相において優越するための装備品を生み出す可能性を有する先進技術について重点化を図ることとしており、たとえば、巡航ミサイルなどの新たな脅威に対する探知能力や精密迎撃能力の向上、無人機・ロボットなどの知能の向上やネットワーク化、個人装備の防護能力やNBC検知能力の向上、航空機、艦艇などのステルス性や機動力の向上などを挙げている。
また、多様な事態への対応や統合運用の実施などの観点から、運用面のニーズをこれまで以上に見据えつつ、最新の科学技術を取り込んで研究開発を実施するため、新たな研究開発手法を取り入れている
2。
装備品のライフサイクルを通じた性能、スケジュール、コストの最適化を図る観点では、装備品を創出する構想・研究および開発段階での、性能・コストなどにかかる複数の提案の比較による分析を徹底していくこと、さらに、装備品が配備された後も、それをフォローアップして改善などを実施していくことが効果的であり、研究開発体制への取組として継続的に検討を行っている。
(図表III-4-1-14・15参照)
2)1)装備品の原型の試作などを行い、それを運用者と見込まれる各自衛隊の評価に供し、じ後の研究開発や調達などに反映していく「運用実証型研究」の導入2)開発着手時に最終的に達成すべき要求性能を設定せず、着手後においても、要求性能の精度を高めたり、最新の軍事科学技術を取り入れたりすることを可能とする「進化的開発」の導入