第III部 わが国の防衛のための諸施策 

3 日中防衛交流

 中国は、アジア太平洋地域において大きな影響力を持っており、近年の目覚しい経済発展や軍事力の近代化など、各国がその動向に注目する存在となっている。防衛分野での相互理解を深め信頼関係を増進させることは、両国の安全保障のみならず、この地域の平和と安定にも有益である。
 98(平成10)年、久間防衛庁長官(当時)が訪中した際の防衛首脳会談において、防衛首脳レベルでの対話の継続実施など、今後の防衛交流の進め方について合意した。
 また、同年、小渕総理(当時)と江沢民国家主席(当時)との日中首脳会談では、「平和と発展のための友好協力パートナーシップの構築に関する日中共同宣言」を発表し、両首脳は、両国の防衛交流が相互理解の増進に有益な役割を果たしていることを積極的に評価したほか、安全保障・防衛分野での交流を徐々に深めることで意見が一致している。
 昨年10月には、安倍総理が中国を公式訪問し、この際両国は「日中共同プレス発表」を発表した。この中で、日中安全保障対話や防衛交流を通じて、安全保障分野における相互信頼を増進することとしたほか、本年1月および4月に開催された日中首脳会談では、日中の防衛当局間の連絡体制を整備することでも一致した。また、4月の会談の際には、中国側より、曹剛川国防部長の本年秋の訪日との考えが示された。
 防衛省は、中国防衛当局者との交流の中で、特に、日本の防衛政策に対する中国側の理解の促進に努めるとともに、中国の軍事力や国防政策の透明性が向上するよう働きかけている。

(1)防衛首脳クラスなどのハイレベルの交流

 03(同15)年9月、石破防衛庁長官(当時)が訪中し、曹剛川(そうごうせん)国防部長と会談を行った。これを契機に実務レベルを含む防衛交流を積極的に推進することで認識が一致した。
 昨年11月には、章沁生(しょうしんせい)総参謀長助理(当時)が来日し、守屋事務次官と地域情勢、日中両国の防衛政策及び日中防衛交流について協議を行い、日中防衛交流を更に進展させていくことが重要であるとの認識で一致した。
 
章沁生中国人民解放軍総参謀長助理(当時)と守屋事務次官

(2)防衛当局者間の定期協議など

 昨年7月、両国の外交・防衛当局間による日中安全保障対話が中国で行われた。また、防衛研究所一般課程への留学生受入れや、防衛研究所を中心とした研究交流や教育分野の交流、防衛研究所や統幕学校、中国国防大学の課程学生による相互訪問などが継続的に行われている。

(3)部隊間の交流

 本年4月に温家宝国務院総理が訪日の際、安倍総理との間で艦艇の相互訪問の早期実現について意見が一致している。

 

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