第III部 わが国の防衛のための諸施策 

1 日米安全保障体制の意義

 わが国の第二次世界大戦後における繁栄と発展は、国民の叡智(えいち)と努力の賜物(たまもの)であるが、それに加え、わが国として自ら防衛努力を行うとともに、日米安保条約に基づく日米安保体制を有効に機能させ、平和と安全の確保に万全を期してきたことの結果である。また、わが国が、戦後、独立を回復するにあたって、わが国の安全保障の戦略として、米国との同盟関係を選択し、自由と民主主義を基調とする自由主義諸国の一員としての道を選んだことは、わが国の繁栄と発展の基礎となった。
 国際情勢は、依然として不透明・不確実な要素をはらんでいる。また、アジア太平洋地域においても朝鮮半島における軍事的対峙(たいじ)や各国による軍事力の拡充・近代化に加え、大量破壊兵器、弾道ミサイルの拡散など不安定要因が存在している。さらに、米国同時多発テロ(9.11テロ)以降のテロとの闘いに代表されるように、安全保障上の課題のグローバル化が進展している。このような環境にあって、日米安保体制やそれを基調とする日米両国間の協力関係は、わが国の防衛や地域の平和と安定、さらには、国際的な安全保障環境の改善において、次のような役割を果たしていることから、わが国として、引き続き、日米安保体制を維持・強化していくことが必要である。

 

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