(解説)国家安全保障会議
安倍内閣総理大臣は、第165回臨時国会における所信表明演説(昨年9月29日)で、外交と安全保障に関する官邸の司令塔機能強化に向けた体制の整備に取り組むことを表明した。
これを受けて、昨年11月、総理大臣を議長とし、官房長官、総理大臣補佐官(国家安全保障問題担当)のほか有識者をメンバーに加えた「国家安全保障に関する官邸機能強化会議」が設置され、施策の検討が行われた。
同会議が本年2月に提出した報告書を踏まえ、現行の安全保障会議を抜本的に見直し、国家安全保障会議を設置することを主な内容とする「安全保障会議設置法等の一部を改正する法律案」が4月6日に閣議決定され、国会に提出された。
同法律(案)の概要は以下のとおりである。
1 会議体の名称変更
○ 会議体の名称を「安全保障会議」から「国家安全保障会議」に変更
2 審議事項の見直し
○ 審議事項を、我が国の安全保障(国家安全保障)に関する外交・防衛政策の基本方針等の幅広い事項に拡充
○ 但し、従来の安全保障会議における必須諮問事項については、引き続き維持
3 審議方法の見直し
○ 総理大臣・外務大臣・防衛大臣・内閣官房長官の4大臣による会議の枠組みを創設し、国家安全保障に関する事項を審議
○ 現行の安全保障会議における必須諮問事項については、引き続き安全保障会議の構成員である9大臣により審議
○ なお、いずれの審議も、議長(総理)の判断で、4大臣や9大臣以外の閣僚を審議に参加させることが可能
4 専門会議制度の新設
○ 国家安全保障に関する特定の事項について、特に関係のある閣僚が専門的に調査審議する「専門会議」制度を新設
5 総理大臣補佐官
○ 総理大臣補佐官(国家安全保障担当)の会議への出席に関する規定を整備
6 事務局
○ 国家安全保障会議の事務を処理する事務局を設置し、事務局長などの職員を置く
この国家安全保障会議の創設により、国家安全保障に関して政府全体がより一丸となって動くことができる体制が整備されることが期待される。