第I部 わが国を取り巻く安全保障環境 

2 安全保障の枠組みの地理的拡大による安定の確保

 冷戦終結後いわば安全保障上の空白地帯となった中・東欧地域では、NATOの枠組みの拡大による安定の確保がなされてきた。
 NATOは、94(平成6)年に「平和のためのパートナーシップ」(PfP:Partnership for Peace)を採択し6、これに基づき平和維持活動や難民問題対処などに関する演習を行っている。
 また、94(同6)年には地中海ダイアローグ(MD:Mediterranean Dialogue)を創設して、地中海諸国に対する情報提供やNATO関連活動への地中海諸国の参加を通じ、地中海地域の安定に寄与している。
 NATOとロシアの関係では、9.11テロ以降、安全保障に関する共通の課題に対処する必要性から、02(同14)年5月のNATO・ロシア首脳会議でNATO・ロシア理事会を設立することが決定された。
 04(同16)年3月、NATOに7か国(ルーマニア、スロベニア、エストニア、リトアニア、ラトビア、ブルガリア、スロバキア)が新たに加盟したことにより、中・東欧諸国のほとんどがNATOに加盟するに至っている。
 EUについては、中・東欧の10か国(ポーランド、ハンガリー、チェコ、スロバキア、スロベニア、エストニア、ラトビア、リトアニア、マルタ、キプロス)が04(同16)年5月に、ブルガリアおよびルーマニアが本年1月に加盟した。
(図表I-2-8-3参照)
 
図表I-2-8-3 NATOとEU加盟国の拡大状況


 
6)信頼醸成や相互運用性の確保などを目的にNATOと東欧諸国をはじめとするNATO非加盟の欧州安全保障協力機構(OSCE:Organization for Security and Co-operation in Europe)諸国が個別に協力協定を締結している。

 

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