第I部 わが国を取り巻く安全保障環境 

2 通常戦力など

 通常戦力については、90(平成2)年以降、量的削減が行われてきたが、限られた資源を優先的に一部の部隊に投入し、その即応態勢の維持に努めている2
 しかし、徴兵対象人口の減少、低劣な軍人の生活環境、軍の規律の弛緩(しかん)、広範な徴兵猶予や免除などの結果、人材確保難といった問題もあり、旧ソ連時代のような軍の活動水準を維持していくことは困難3であると考えられる。
 ロシア軍の将来像については、国内の不透明な政治・経済情勢もあり、軍改革の今後の動向について引き続き注目していく必要がある。しかしながら、見通し得る将来において、ロシア軍が冷戦時代のような規模・態勢に戻る可能性は低いと考えられる。


 
2)師団と旅団の一部が常時即応部隊に指定され、これ以外の部隊については、装備は十分に備えているが、人員充足率は極めて低いとみられている。
 
3)00(平成12)年にはバレンツ海で北洋艦隊の原子力潜水艦「クルスク」の沈没事故が、05(同17)年にはカムチャツカ半島沖で小型潜水艇が浮上不能になる事故が発生したほか、しばしば航空機やヘリコプターの事故も起きている。

 

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