刊行によせて 

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大臣写真
 
防衛大臣
大臣揮毫


 長年の懸案でありました防衛庁の省への移行が国会において多数の賛同を得てようやく実現し、本年1月9日、「防衛省」が発足いたしました。

 防衛庁・自衛隊の発足から今日までの52年あまりの間、安全保障環境は大きく変化しました。そうした中、防衛庁・自衛隊が、様々な問題に機敏に対応し、国民からの期待・要望に的確、柔軟に応えることができる体制を整えていくことは喫緊の課題となっていました。防衛省への移行は、こうした課題に応えるために行われました。

 防衛省は、国民の期待と信頼の下、国家の最も基本的な任務である国の防衛に責任を有する官庁として、多様な政策の企画立案に当たるとともに、様々な緊急事態により迅速、的確に対応するよう、一層気を引き締め、高い使命感を保ち、努力を惜しまず任務に邁進してまいります。

 北朝鮮による弾道ミサイル発射事案や核実験実施の発表など、わが国の安全保障環境は引き続き厳しいものがあります。防衛省の誕生は、新たな政策課題達成へのスタートです。防衛省は、在日米軍再編、国際平和協力活動への取組など様々な課題に今後一層積極的に取り組んでまいります。

 まず、在日米軍の再編に関する日米合意の実施は、重要な課題です。これを円滑かつ早期に実施することは、日米安保体制を一層実効性のあるものとし、基地を有する地元の負担を軽減するために、極めて重要です。先般の国会では、再編を円滑に実施するための法案が成立しました。この措置の実施などを通じて、今後とも、再編を着実に進めてまいります。

 また、テロ対策特措法に基づくインド洋での活動やイラク特措法に基づくイラクでの活動など、自衛隊による国際平和協力活動は各国から高く評価されています。本来任務化も踏まえ、今後とも、国際平和協力活動に主体的・積極的に取り組んでまいります。教育訓練体制や輸送能力の向上などの体制整備も進めてまいります。

 さらに、防衛省は、省移行とともに政策官庁として生まれ変わらなければなりません。国家の未来を戦略的に考え、わが国の安全保障のみならず、国際社会からの期待に十分応え得るように政策機能の強化を図る必要があります。このため、今年度、組織改編を行い、政策機能の充実・強化と地域との接点の拡充を図ってまいります。

 昨年の北朝鮮による弾道ミサイル発射や核実験実施発表に見られるような、わが国の安全保障や国際社会の平和と安全に関する問題に的確に対応するため、必要な防衛力整備を着実に進めてまいります。特に、弾道ミサイル攻撃に対応するため、ペトリオットPAC−3やSM−3搭載イージス艦の早期配備を進めてまいります。

 このような取組により、わが国および国民の未来のため、世界の平和と安定のため、防衛省・自衛隊は全力を尽くしてまいります。

 今年の防衛白書は、防衛省に移行して初めての白書です。省移行を始めとしてわが国の防衛にかかわる重要事項や自衛隊の国内外での活動などについて、国民の皆様と諸外国の方々に御理解をいただくようわかりやすく記述しました。厳しい環境において、緊張感と責任感をもって職務に当たっている隊員の姿についても記述しました。

 この防衛白書を、多くの方々にお読みいただき、忌憚のない御意見をいただけるよう、願っております。

 

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