1 日韓防衛交流
韓国は、地政学的な観点からわが国の安全保障にとって重要な国であるとともに、自由や民主主義といった、わが国と基本的な価値を共有できる友好国である。また、米国と同盟関係にあり、安全保障の観点からわが国と同様に、米軍を駐留させている。そのため、韓国との防衛交流を積極的に進めることにより、相互理解や信頼関係を増進させ、また、協力の基盤をつくり、両国が東アジア全体の平和と安定に向けて、政策面においてより効果的に協調、協力していくことが極めて重要である。
98(平成10)年の小渕総理(当時)と金大中大統領(当時)との日韓首脳会談において、両首脳は新たなパートナーシップを構築するとの共通の決意を「日韓共同宣言−21世紀に向けた新たな日韓パートナーシップ」として発表し、両国間の安全保障対話・防衛交流を歓迎し、一層強化することとした。
(1)防衛首脳クラスなどのハイレベルの交流
94(同6)年以降、両国防衛首脳が、ほぼ毎年(01、04、06(同13、16、18)年を除く。)交互に訪問し、会談が開かれている。
本年2月、金章洙(キム・ジャンス)国防部長官が来日し、久間防衛大臣と、北東アジア情勢、両国の防衛政策などについて意見交換を行い、統幕運用部長と韓国合同参謀本部との間の新たな緊急連絡体制や両国の防衛施設部局間の交流開始について合意した。
本年3月には、齋藤統幕長が訪韓し、金寛鎮(キム・グァンジン)韓国合同参謀議長と、それぞれ率直な意見交換を行った。
(2)防衛当局者間の定期協議など
94(同6)年以降、毎年、局長・審議官級の防衛実務者対話を行っているほか、98(同10)年以降は、外交当局を含めた安全保障対話を行っている。
昨年12月には、第14回日韓防衛実務者対話を開催し、東アジア情勢、両国の防衛政策、国際平和協力活動への取組、日韓防衛交流などの意見交換を行った。本年5月には、第6回日韓安全保障対話を開催し、両国をとりまく安全保障環境や安全保障政策などの意見交換を行った。
また、統幕と韓国合同参謀本部、陸・海・空自衛隊と韓国陸・海・空軍間でも活発な対話などを行うとともに、留学生の派遣・受入れや研究交流も盛んに行っている。
(3)部隊間の交流など
陸自と韓国陸軍は、01(同13)年以来、西部方面隊と韓国陸軍第2軍との間で部隊指揮官が相互に訪問するなどの交流を行っている。
海自と韓国海軍は、94(同6)年以来、艦艇が相互に訪問するなどの交流を行っており、昨年9月には、韓国海軍練習艦隊が来日したほか、本年6月には5回目となる捜索・救難共同訓練が行われた。
空自と韓国空軍は、00(同12)年以来、航空機の相互訪問による交流を行っている。昨年10月には、韓国で行われた国際軍楽祭に航空中央音楽隊が参加した。この際、一部の隊員と関連器材の輸送ならびに韓国輸送機部隊への親善訪問のため、空自輸送機が3度目の訪韓を行った。