第III部 わが国の防衛のための諸施策 

1 最近の日米協議の概要

 日米両国は、新たな安全保障環境における各々の防衛・安全保障政策を見直すに際し、日米間で緊密な意見交換を行っていくことが重要であるとの認識の下、02(平成14)年12月の日米安全保障協議委員会1(「2+2」会合)で、日米間の安全保障に関する協議を強化することを確認し、その後、事務レベルの協議を行ってきた。
 これらの日米協議は、わが国の平和と安全にとって不可欠の要素である日米同盟の能力を、時代の変化に合わせていかに実効的なものに向上させていくかという観点から、両国間の安全保障に関する戦略的な対話の一環として行われてきた。わが国は、防衛大綱に示された考え方に基づき、抑止力の維持と地元負担の軽減を基本的な方針とし、わが国の安全保障の問題として、主体的にこの協議に取り組んできた。
 これは、変化する安全保障環境の中、日米同盟が常に強固であり続けるためには、日本の防衛とアジア太平洋地域の平和と安全に対する米国のコミットメントの信頼性と実効性を向上させるとともに、確固たる両国国民の幅広い支持が必要との認識に基づいている。
 日米協議は、安全保障環境の大きな変化を受けて、日米同盟の方向性について、日米両国の共通戦略目標の確認にはじまり、包括的かつ段階的に整理を行い取り進められた。
○ 共通戦略目標(第1段階)
 地域および世界において、日米が防衛・安全保障面でその達成に向けて協力すべき戦略目標を特定した。
○ 日米の役割・任務・能力(第2段階)
 第1段階において特定された戦略目標を達成するため、日米、特に自衛隊および米軍の役割・任務・能力について、日米の安全保障・防衛政策の近年の発展、成果を踏まえ、検討を行った。
 この検討は、兵力態勢の再編を行う前提として、自衛隊および米軍が十分な調整を行いながら、どのように協力すべきかについて明らかにするものであった。
○ 兵力態勢の再編(在日米軍の兵力構成見直し)(第3段階)
 第2段階における役割・任務・能力に関する検討を踏まえ、それらを具体化するために必要な在日米軍および関連する自衛隊の態勢について、検討を行った。
 日米協議の全体像は、図表III-2-2-2のとおりであり、協議は段階的な作業の節目毎に「2+2」会合における日米共同の文書の発表という形で透明性を確保しつつ、その内容を内外に明らかにして進められた。以下、この協議の内容について説明する。
 
図表III-2-2-2 日米協議の全体像


 
1)日米の安全保障に関する政策協議の場の一つ。日本は、外務大臣と防衛大臣が、米国は、国務、国防の両長官が出席する。(3節図表III-2-3-1参照)

 

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