1 検討の経緯
昨年1月30日、防衛施設の建設工事に係る競売入札妨害の容疑で、防衛施設庁の幹部職員などが逮捕された。これを受け、防衛庁(当時)では、「防衛施設庁入札談合等に係る事案に対する調査委員会」および「防衛施設庁入札談合に係る抜本的対策に関する検討会」を設置し、事実関係の徹底究明および再発防止策を検討した。この検討において、組織については、1)防衛施設庁を解体し防衛本庁に統合、2)建設工事の発注手続に係る相互牽制機能を強化、3)全庁的な監査・監察機能を強化することとされた。
昨年3月には、与党からも提言があった。自由民主党では、国防部会の下に置かれたプロジェクトチームが提言をまとめた。この中では、大臣直轄の強力な内部監査制度を創設すること、契約部門と積算部門を分離し相互監視機能を発揮させること、内部部局および地方組織を大幅に改編することなどが盛り込まれていた。公明党では、安全保障部会から防衛庁(当時)に対し申し入れが行われた。この中では、防衛施設庁の機能の本庁への移行、相互牽制(けんせい)機能の強化、監査機能の強化などによる大幅な再編を行うべきと記されていた。
このような提言も行われる中、8月末までに、各種の論点を整理し、組織の細部を確定させた上で概算要求を行う必要があった。このため、昨年4月7日、額賀防衛庁長官(当時)を長とする「防衛施設庁解体後の新たな防衛組織を検討する委員会」を設置し、概算要求に向け、組織検討を行った。
こうした検討を終え、昨年8月末に概算要求を行い、政府部内の調整および国会での予算の審議を経て、今年度予算に新たな組織が盛り込まれた。新たな組織は、本年中に改編される予定であり、その主たる改編の内容は次のとおりである。