第II部 わが国の防衛政策の基本 

2 防衛力の基本的な事項

 上記の役割を果たすため防衛力の基本的な事項として、防衛大綱では、以下のものがあげられている。

(1)統合運用の強化

 新たな安全保障環境の下、新たな脅威や多様な事態に速やかに対応し、自衛隊の任務を迅速かつ効果的に遂行するためには、当初から各自衛隊を一体的、有機的に運用する統合運用体制を強化することが必要である。
 統合運用体制へ移行するため、自衛隊の運用に関する長官(当時)の補佐機構として統合幕僚監部の新設が盛り込まれた。また、その実効性を高めるとともに、教育訓練、情報通信などの各分野において統合運用基盤を確立することとされた。その際、統合運用の強化にあわせて、既存の組織などを見直し、効率化を図ることとしている。

参照>III部1章1節5

(2)情報機能の強化

 多機能で弾力的な実効性のある防衛力を機能させるためには、各種事態の兆候を早期に察知するとともに、迅速・的確な情報集約・共有など、高度な情報能力の保有とその十分な活用が不可欠である。
 このように、情報能力は、単なる支援的要素ではなく、防衛体制の基本の一つとして位置付けることが適当である。このため、安全保障環境や技術動向などを踏まえた高度で多様な情報収集能力や、総合的な情報分析・評価能力などの強化を図るとともに、当該能力を支える情報本部をはじめとする情報部門の体制を充実することにより、高度な情報能力を構築することとしている。

(3)科学技術の発展への対応

 多機能で弾力的な実効性のある防衛力を実現するためには、情報・科学技術の進歩に伴う各種技術革新の成果を的確に反映させることが必要である。特に、内外の優れた情報通信技術に対応し、先に述べた統合運用の推進に不可欠となる確実な指揮命令と迅速な情報共有を進めるとともに、運用および体制の効率化を図るため、高度な指揮通信システムや情報通信ネットワークを構築することとしている。

(4)人的資源の効果的な活用

 限られた人的資源でより多くの成果を達成するためには、自衛隊の任務の多様化・国際化、装備の高度化などに対応し得るよう、質の高い人材の確保・育成を図るべく、必要な教育訓練を実施する必要がある。
 また、安全保障問題に関する研究・教育を推進するとともに、その人的基盤を強化することとしている1


 
1)中期防において、防衛省のシンクタンク的な機関である防衛研究所の安全保障政策に係る研究・教育機能の充実を図ることとしている。

 

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