第I部 わが国を取り巻く安全保障環境 

3 復興に向けたイラク政府および国際社会の取組

 イラク情勢の打開のためには、治安対策のみならず、イラク政府による自発的な国民融和促進のための政治的努力も重要である。マーリキー・イラク首相は昨年6月、国民融和計画を策定し、同年12月には、バグダッドにおいて国民和解会議を開催するなど、国民融和の下で民主的で安定的な国家を構築する努力を継続している。
 また、各国も、部隊派遣や二国間および多国間の支援などを通じてイラクの復興に協力している。米国などは、05(平成17)年より、軍および文民からなる地方復興チーム(PRT:Provincial Reconstruction Team)を展開し、イラク地方政府の支援などを行っており、米国は、このような軍事・非軍事部門の連携をさらに重視する中、前述のイラク新政策において、PRTの数を倍増させるとした。国連は、国連イラク支援ミッション(UNAMI:United Nations Assistance Mission for Iraq)などを通じ、復興、開発および人道支援の調整などを行っている。
 このような中、本年5月には、イラク政府と国際社会との新たなパートナーシップを構築するため、イラク政府と国連を共同議長とした国際的枠組みにより、イラク・コンパクトが策定された。このイラク・コンパクトにおいては、イラク政府が政治、治安、経済復興の各分野における今後5年間の政策目標を示し、国際社会がかかるイラク政府の取組への支援を約束している。

 

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