資料8 衆議院議員稲葉誠一君提出「憲法、国際法と集団的自衛権」に関する質問に対する答弁書(昭和56年5月29日提出)−抜粋− 

資料8 衆議院議員稲葉誠一君提出「憲法、国際法と集団的自衛権」に関する質問に対する答弁書(昭和56年5月29日提出)−抜粋−

 集団的自衛権と憲法第九条、国際法との関係については必ずしも明瞭でないので、これを明らかにすることがこの際必要と考えるので、ここに質問主意書を提出する。
 集団的自衛権について次のとおり質問する。
一 内閣としての統一した定義
二 独立主権国家たる日本は当然自衛権を持ち、その中に集団的自衛権も含まれるのか。
三 集団的自衛権は憲法上「禁止」されているのか。とすれば憲法何条のどこにどのように規定されているのか。
四 「禁止」されていず政策上の問題として「やらない」としているのか。
五 集団的自衛権が「ない」ということで我が国の防衛上、実質的に不利を蒙むることはあるか。

一から五までについて
 国際法上、国家は、集団的自衛権、すなわち、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもつて阻止する権利を有しているものとされている。
 我が国が、国際法上、このような集団的自衛権を有していることは、主権国家である以上、当然であるが、憲法第九条の下において許容されている自衛権の行使は、我が国を防衛するため必要最小限度の範囲にとどまるべきものであると解しており、集団的自衛権を行使することは、その範囲を超えるものであつて、憲法上許されないと考えている。
 なお、我が国は、自衛権の行使に当たつては我が国を防衛するため必要最小限度の実力を行使することを旨としているのであるから、集団的自衛権の行使が憲法上許されないことによつて不利益が生じるというようなものではない。

 

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