第6章 国民と防衛庁・自衛隊 

(VOICE)自衛隊で行われている訓練(空自編)
 
航空自衛隊 航空救難団 救難教育隊 1等空曹 原田顕聖(はらだけんせい)(救難員課程教官)
スクーバセットを装着し遭難者救助訓練の準備をする原田1等空曹

 私は、救難員課程の教官です。救難員は、不時着や墜落した自衛隊機のパイロットなどの救助を主な任務としておりますが、災害派遣で海や山での遭難者などを救助することも数多く行っています。
 このような任務に対応するため、救難員課程では、落下傘降下の訓練、海上でスクーバを装着しての救助訓練、山岳地での救助訓練など、技術の修得が困難で危険な訓練を行います。救難員には、人並み以上の運動能力と体力が必要なのです。
 また、救難現場では自分の身が危険にさらされる状況が予想されるため、高度な技能だけでなく、救難員には、「どんな状況下でも絶対に遭難者を救助する。」という、強固な精神力も求められます。このため、早朝から救難活動を開始して体力の限界まで活動し、それでもなお気力を振り絞って遭難者を救助させるといった訓練を行います。精神力に裏打ちされた技術や能力を身につけてこそ初めて、救難員としての一歩が踏み出せるのです。
 なお、常に危険を伴う学生訓練の安全を確保するため、我々教官には細心の注意と万全の準備が求められます。また、学生に対し威厳を保ち良い見本となるためには、人格や幅広い知識、学生をはるかに超越する経験や体力が必要なため、教官としての自学研鑽が必要です。このように厳しい教官の仕事ですが、教育を終了した学生が実任務を経験し、成長した姿を確認できたときは、教官として本当に良かったと感じます。

 

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