第2章 わが国の防衛政策の基本 

4 省移行と本来任務化関連の法整備


 防衛庁の省への移行や国際平和協力活動などの本来任務化は、先述のように、1)緊急事態対処の体制を充実・強化する、および2)国際社会の平和と安定に主体的・積極的に取り組むための体制を整備するものである。
 これらについて措置するため、政府は、「防衛庁設置法等の一部を改正する法律案」を、6月9日閣議決定した。
 この法案は、省移行、国際平和協力活動等の本来任務化、および国際平和協力活動と周辺事態への対処の安全保障会議の諮問事項への追加を一括して措置するものである。その概要は以下のとおりである。

(1)防衛庁設置法の一部改正
 防衛庁設置法を防衛省設置法に改正し、防衛省の任務、所掌事務、組織などを規定する。
○ 組織名:「防衛庁」→「防衛省」
○ 大臣名:「防衛庁長官」→「防衛大臣」
○ 府省令名:「内閣府令」→「防衛省令」
 その際、防衛省の任務、所掌事務、組織などは、現行の防衛庁設置法に規定されているものを基本としつつ、所要の改正を実施する。

(2)自衛隊法の一部改正
ア 省移行関連
○ シビリアン・コントロールの基本的枠組みである内閣の首長としての「内閣総理大臣」の権限は、引き続き内閣総理大臣の権限とする。(例:自衛隊の最高の指揮監督権(第7条)、防衛出動の下令(第76条)、治安出動の下令(第78条、81条)、海上警備行動についての承認(第82条)など)
○ 主任の大臣である内閣府の長としての「内閣総理大臣」の権限は新たに主任の大臣となる防衛大臣の権限とするなど所要の改正を行う。(例:防衛庁長官に対する指揮監督(第8条)、防衛出動下令前の行動関連措置としての物品の提供(第77条の3)、後方地域支援(第100条の9)、ACSA(第100条の10、11)、防衛出動時における物資の収用等を行う地域の告示(第103条)など)

イ 本来任務化関連
次の活動を自衛隊法第3条に規定する本来任務と位置づける。
○ 国際緊急援助活動等(自衛隊法第100条の6、国際緊急援助隊法)
○ 国際平和協力業務等(自衛隊法第100条の7、国際平和協力法)
○ テロ特措法に基づく活動(附則第17、18項、テロ特措法)
○ イラク特措法に基づく活動(附則第19、20項、イラク特措法)
○ 機雷等の除去(自衛隊法第99条)
○ 在外邦人等の輸送(自衛隊法第100条の8)
○ 周辺事態における後方地域支援等(自衛隊法第100条の9、周辺事態安全確保法、周辺事態船舶検査活動法)

(3)安全保障会議設置法の一部改正
 安全保障会議設置法の一部を改正し、安全保障会議の諮問事項に国際平和協力活動および周辺事態への対処に関する重要事項を加える。

(4)附則における改正等
○ 防衛施設庁を平成19年度に廃止し、防衛庁本省への統合その他の措置を講ずることにより、より適切かつ効率的に遂行することを可能とする体制を整備する旨明記する1
○ 防衛庁が省に移行することに伴う経過措置を規定する。
○ 防衛庁を内閣府設置法に基づく内閣府の外局たる庁から、国家行政組織法に基づく省とする改正や条文中の「防衛庁」を「防衛省」とするなど、70の関係法律について所要の法律の改正を行う。


 
1)省移行にかかる与党協議において、防衛施設庁入札談合事案を踏まえた平成19年度における施設庁の解体・統合と今回の省移行法案との関係が、共に防衛庁の組織に関するものであるのにかかわらず不明確であるとの指摘を受けたことから、附則において防衛施設庁の廃止について明記することとした。


 

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