資料48 内閣総理大臣談話 

資料48 内閣総理大臣談話

(平成18年6月20日)
 本日、政府は、平成16年初めの派遣開始以来、イラク復興支援特別措置法に基づきイラクのサマーワにおいて人道復興支援活動に当たってきた陸自部隊について、その活動目的を達成したと判断し、同地から撤収させることを決定いたしました。一方、空自部隊については、国連及び多国籍軍への支援を行うため活動を継続し、新たにバグダッドやエルビルへの空輸を行うこととしました。また、我が国は、多国籍軍が行うPRT(Provincial Reconstruction Team)とも連携しつつ、円借款による経済活動の基盤整備を中心とする対イラク支援を継続していきます。
 国際社会は、イラク人自身による復興と再建を支援するため、一致団結して取り組んできました。我が国も、自衛隊による人的貢献と政府開発援助ODAによる支援を「車の両輪」として着実に実施してきたところです。こうした国際的支援の下、イラクの政治プロセスは着実に進展し、昨年12月には国民議会選挙が実施され、先般、新政府が発足しました。また、多国籍軍からの治安権限移譲プロセスが進行するなど、民主的な政府の下でイラク人自身による自立的な復興に向けて本格的な第一歩が踏み出されました。
 ムサンナー県では、約2年半に及ぶ医療、給水、学校・道路等公共施設の改修など多岐にわたる陸自部隊の活動及び我が国ODAによる支援により、現地の生活基盤の整備、雇用の創出など目に見える成果が生まれました。ムサンナー県民全員の基本的な医療サービスへのアクセスが可能になり、サマーワ母子病院では、新生児死亡率が2002年上半期と比較して約3分の1に改善しました。給水事情や教育環境も改善し、雇用についても、自衛隊やODAによる事業により1日最大6,000人程度、延べ約156万人の雇用を創出しました。さらに、我が国ODAにより、サマーワ大型発電所の建設が着工しており、完成すれば電力事情も大幅に改善されます。このほかにも、サマーワ市内の橋梁建設やムサンナー県内の灌漑事業など、この地域への復興支援を継続していく方針です。こうした支援は、イラク政府及び現地の人々から高い評価と信頼を獲得しています。
 今後、我が国とイラクとの関係は、政治対話の強化、経済関係の強化を含む幅広いものに移行すべき時期に来ています。我が国としては、これまでの復興支援の成果を着実に根付かせるとともに、イラクとの幅広い長期的なパートナーシップの構築に向け、取り組んでまいります。
 以上の基本的な方針については、イラク政府からも全面的な同意を得ています。この機会に、陸自部隊を温かく迎えてくれたイラク政府・国民と、サマーワでの陸自の活動に協力頂いた、英国、豪州、オランダ及び米国を始めとする関係国に感謝します。
 この度の政府の決断について、国民の皆様の御理解と御支援をお願い致します。

 

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