第3章 新たな脅威や多様な事態への実効的な対応と本格的な侵略事態への備え 

在外邦人などの輸送態勢の整備

(1)自衛隊法の改正
 防衛庁・自衛隊は、これまで、外国での災害、騒乱その他の緊急事態に際して、自衛隊法第100条の8の規定に基づき、外務大臣の依頼を受けて、生命や身体の保護を必要とする在外邦人などを、政府専用機や空自の輸送機で輸送する態勢をとってきた。
 99(同11)年の自衛隊法の改正により、在外邦人などの輸送手段として自衛隊の船舶とその船舶に搭載されたヘリコプターが追加され、また、隊員と邦人などの生命や身体を防護するため必要最小限の武器の使用ができるようになり、輸送のための態勢が強化された。

 
邦人等の輸送訓練(搭乗手続)を行う隊員

(2)各自衛隊の態勢など
 派遣先国の空港・港湾などで、在外公館から在外邦人を引き継ぎ、航空機・船舶までより安全に誘導できるよう、陸自ではヘリコプター隊と誘導隊4の要員を、海自では輸送艦をはじめとする艦艇と航空部隊を、空自では派遣要員をそれぞれ指定するなど待機態勢を維持している。
 なお、在外邦人などの輸送任務は、基本的には各自衛隊が緊密に連携して行うため、統合調整が必要となることから、輸送機や輸送艦などを用いて統合訓練を実施するなど、任務遂行のための能力向上に努めてきたが、平成17年度末からは当該任務は統合運用体制の下で実施される。

 
在外邦人などの輸送の一例

(3)在外邦人などの輸送実績
 イラク人道復興支援特措法に基づき派遣された陸自の活動などを取材するためイラクのサマーワに滞在していた報道関係の在留邦人10名を、昨年4月15日、同国のタリル飛行場からクウェートのムバラク飛行場まで、空自のC-130H輸送機により輸送した。これは、自衛隊法第100条の8の規定に基づく初めての邦人輸送であった5


 
4)輸送部隊(自衛隊の航空機・艦船)とともに派遣され、現地において在外邦人などの誘導・防護に当たる臨時に編成される部隊

 
5)4章1節2参照


 

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