第5章 国民と防衛庁・自衛隊 


募集にみる50年

 募集業務は、警察予備隊の発足に伴い、昭和25年度から開始され、昭和28年度までは各駐屯地で実施されていたが、54(昭和29)年の防衛庁発足の際、自衛官の募集を主な任務とする地方連絡部を設置することとし、じ後、昭和31年度までに北海道に4つ、各都府県に1つが設置された。
 
第1期自衛隊生徒の着隊風景(55(昭和30)年4月 神奈川県横須賀市)

 当初は、昭和35年度に、2士男子の応募倍率が7.5倍に達するなど募集環境は良好であったが、高度経済成長期に入った昭和44年度には、1.8倍にまで落ち込むなど募集難が続くようになり、2士男子の応募倍率は、その後も、石油危機以降の雇用情勢の悪化にもかかわらず、進学率の向上に伴う若年労働力の慢性的な不足の影響などを受け、平成4年度に至るまで厳しい状況であった。このような厳しい募集環境に配慮し、昭和50年度には、資質の高い長期勤務者を確保し、自衛隊の中堅である曹の基幹要員を確保するため、非任期制の2士として採用した者を2年間の教育訓練で3曹に昇任させる一般曹候補学生制度を発足させた。さらに、平成2年度には、入隊時から曹候補者として非任期制隊員の身分を与え長期勤務し得ることを保証する曹候補士制度を導入した。
 このような努力や隊員に対する処遇改善策に加え、景気低迷に伴う雇用情勢の悪化、さらには、災害派遣や国際平和協力業務の実施などを通じた自衛隊に対する国民の理解と認識の深まりなどにより、近年、募集状況は堅調に推移している。しかし、2士男子の募集対象となる18歳以上27歳未満の人口が減少していることや、高校卒業者の進学率の増加が見込まれることから、中長期的な募集環境は厳しいものになると予想されており(5章3節1(p294))、質の高い人材を確保するための一層の努力が求められている。
 
2士募集人数・応募倍率の推移


 

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