第4章 国際社会の平和と安全を確保するための取組 

大量破壊兵器の運搬手段(ミサイル)

 ミサイルや関連する機材・技術の不拡散については、わが国を含む33か国が参加するミサイル技術管理レジーム(MTCR):Missile Technology Control Regime26により、ミサイル関連機材・技術の輸出管理が行われている27。92(同4)年には、規制対象を、核兵器のみならず生物・化学兵器を含むすべての大量破壊兵器の運搬手段として使用可能なミサイルにまで拡大することが合意された。
 しかし、MTCR非参加国の協力などによりミサイルの拡散が進んでおり、MTCRだけでは弾道ミサイルの拡散を防止することは困難との認識から、MTCR参加国以外の国々にも開かれた弾道ミサイルの不拡散のための規範として、02(同14)年11月、弾道ミサイルの拡散に立ち向かうためのハーグ行動規範(HCOC):Hague Code of Conduct against Ballistic Missile Proliferation28が、オランダ・ハーグにおいて採択された。原参加国は101か国であったが、本年5月現在、114か国が参加している。
 防衛庁からも、これらの会合に毎年(MTCRについては、92(同4)年から)職員を派遣し、専門的な助言や意見交換を行うことにより、大量破壊兵器やその運搬手段の拡散などに対処するための規制や取決めが実効性のあるものとなるよう協力している。



 
26)参加国の自主的な措置により、大量破壊兵器を運搬可能なミサイル・同関連技術の移転を規制する多国間の枠組。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/mtcr/mtcr.html

 
27)搭載能力500kg以上、射程300km以上のミサイルや関連する機材・技術は、原則的に輸出が禁止される。これに該当しなくても、大量破壊兵器の運搬に使用される懸念がある場合には、輸出が制限される。

 
28)参加国を法的に拘束しない政治的合意。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/mtcr/index.html


 

前の項目に戻る     次の項目に進む