第2章 わが国の防衛政策 

1 わが国の安全保障を確保する方策

 わが国は、激動する国際社会の中で、第二次世界大戦後、半世紀以上にわたり平和と安全を確保し、国民生活の向上と経済の発展を成し遂げてきた。
 平和や安全は、願望するだけでは確保できない。ますます相互依存関係を深めている国際社会の現状を踏まえ、外交努力、自らの防衛努力、日米安保体制の堅持など様々な施策を総合的に講じることで初めて確保できるものである。特に、資源の海外依存度が高く、世界の国々との貿易によって発展してきたわが国が生存と繁栄を確保するためには、国際社会の平和と協調の維持が極めて重要である。
 このため、わが国は、日米同盟など二国間の協力関係を強化しつつ、アジア太平洋地域での地域的協力や国連への地球的規模の協力などを積極的に進め、紛争・対立の防止や解決、経済の発展、軍備管理・軍縮の促進、相互理解と信頼関係の増進などを図っている。
 また、わが国は、国民生活を安定させ、国民の国を守る気概の充実を図り、侵略を招くような隙を生じさせないよう経済、教育などの分野において様々な施策を講じ、安全保障基盤の確立を図っている。
 しかし、こうした非軍事的手段による努力のみでは、必ずしも外部からの侵略を未然に防止できず、また、万一侵略を受けた場合にこれを排除することもできないため、国の安全を確保することは困難である。
 一方、防衛力は、侵略を排除する国家の意思と能力を表す安全保障の最終的担保であり、その機能は他のいかなる手段によっても代替し得ない。
 このことから、政府は、防衛力の適切な整備を進め、その維持・運用を図るとともに、日米安保体制を堅持し、運用面における日米の効果的な協力態勢の構築に努めるなど、その信頼性を向上させて隙のない防衛態勢をとることとしている。
 このような努力は、わが国の安全を確保する上での必須の要件であるとともに、日米安保体制を通じて米国の関与や米軍の展開を確保することとあいまって、アジア太平洋地域、ひいては世界の平和と安全にも資することとなる。


 

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