資料編 

資料32 弾道ミサイル防衛(BMD)に係る日米共同技術研究に関する内閣官房長官談話

(平成10年12月25日)
1.本日、政府は、安全保障会議の了承を経て、平成11年度から海上配備型上層システム(NTWD)を対象として米国との間で共同技術研究に着手することを決定した。
2.政府としては、冷戦終結後の核を始めとする大量破壊兵器や弾道ミサイルの拡散状況を踏まえると、弾道ミサイル防衛(BMD)が専守防衛を旨とする我が国防衛政策上の重要な課題であり、我が国の主体的取り組みが必要であるとの認識の下、これまで所要の検討を行ってきたところである。
3.政府としては、今後の我が国の取り組みとしては、米国との間において、NTWDを対象として共同技術研究を行うことが、最も効率的かつ実りあるものであり、また、かかる日米間の協力は、日米安保体制の信頼性の向上等に資するものであると考えている。
4.宇宙の開発及び利用に関する国会決議との関係については、もとより国会決議の有権解釈は国会においてなされるべきものであるが、政府としては、近年弾道ミサイルが拡散している状況にあるところ、BMDシステムが、我が国国民の生命・財産を守るための純粋に防御的な、かつ、他に代替手段のない唯一の手段であることを踏まえれば、BMDシステムに関して我が国が主体的に取り組んでいくことは、本件国会決議の趣旨及びそのよって立つ平和国家としての基本理念にも沿ったものであり、国民各位の御理解をいただけるものと考えている。
 なお、この関連で、本年9月、衆議院においてなされた北朝鮮によるミサイル発射に関する国会決議において「政府は我が国国民の安全確保のためのあらゆる措置をとる」べきこととされているところである。
 また、BMDに係る日米共同技術研究における武器技術供与は、対米武器技術供与取極の枠組みの下で実施されるものである。
5.なお、本件は技術研究であり、開発段階への移行、配備段階への移行については別途判断する性格のものである。これらの判断は、BMDの技術的な実現可能性及び将来の我が国の防衛の在り方等について十分検討した上で行うこととする。

 

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